Rascal・改 − Game Impression
[メニュー枠OFF]

XANADU NEXT
発売日:2005.10.27 / Falcom
 20年前に発売された『ザナドゥ』の次世代版。 20年前と同じ発売日に同じ価格…という拘りようですが、実際はザナドゥの名を冠してはいるものの、見た目も中身も完全新作と言って良いほど変わっていました。
 プレイ時間は18時間強。難易度の調整などはできません。

 先の戦争によって騎士が没落し、目的を見失っていた元騎士の主人公。 そんな主人公を気遣い、幼馴染みで考古学の研究生をしている「シャル」は失われた古代ザナドゥ王国の遺跡調査に同行させるのだった…というあらすじ。


 「ハーレックの町」を中心にザナドゥの遺跡を探索していくクオータービューのアクションRPGです。 まぁアクションとは言っても『イース』シリーズのようなダッシュとかジャンプを駆使するような事は無く、てくてくと歩み寄ってサクサクと切り刻む『DIABLO』タイプのゲームなので、アクション要素は低め。

 操作はマウスとキーボードのみでジョイパッドには対応していません。 しかも移動に関してはマウスOnlyと言うびっくり仕様。 キーボードは主にメニューを開いたりアイテム使用時のショートカットに使用するくらいで、私はほとんどマウスのみでした。
 とりあえず普通に移動・会話・攻撃といった一連の操作はマウスでも問題ないレベルかと思いますけど、複数の敵に囲まれたときは攻撃対象キャラを選び難いので個人的にはもう一工夫欲しかったところです。 狙ったキャラだけ攻撃するロックオン機能とかあれば良かったかも。


 冒険の舞台はこじんまりとしている印象。 基本的に一つのダンジョンを攻略したら今まで行けなかった場所へ行けるようになる…というステージ誘導タイプの流れなのですけど、どのダンジョンも町から非常に近い位置にあり、ちょっと町から離れたダンジョンをずんずんと攻略していったら町中に繋がってた…なんてことが何度かありました。

 フィールドやダンジョンはフルポリゴンで描かれていて視点角度の調整が可能。 一部の広大な部屋や大きな建物の外側といったポリゴン数の多いエリアでは視点変更ができなくなってましたが全体的に古代の遺跡らしい古臭い雰囲気が良く出ていて良かったです。 特にラストダンジョンの外観は素晴らしいの一言。 その重厚な威容にも圧倒されましたし、周囲を夜光虫のようなものがふよふよ漂っている様もなかなか雰囲気出ていて良かったですよ。
 また主人公も装備によって見た目が変化するのもグッド。 武器・鎧・盾・冑の全てに装備グラフィックが用意されているので装備品の変更を行うのも楽しかった。


 物語としては「聖剣ドラゴンスレイヤーを得ることを余儀なくされた主人公がザナドゥ王国の謎を解いていく」という流れで、当然ギャグやキャラ萌えとは無縁のシリアスな展開となっています。 ただ、ザナドゥ王国関連の謎はダンジョン内部で発見する石板や手記によって明かされていくだけなので少々盛り上がりに欠けますね。 まぁ登場キャラとのやり取りでは主人公は喋らない(盛り上がるようなリアクションを返さない)ので仕方ないんですけど(笑)。


 ゲーム序盤から中盤までは自キャラがレベルアップする度に確実に強くなっていくのがよく判って純粋に成長する楽しみを味わえたのは良かったと思う。 敵キャラを斬り付けたときの血飛沫が快感で(ぇ?)戦闘自体も結構楽しめました。

 ただし中盤以降にもなると段々と不満点が目に付くようになってきます。 最も大きな不満としては「自由度が低い」こと。 先に書いた探索先のダンジョンへ誘導される…というゲームシステム自体は別に構わないのですけど、レベルアップ時におけるステータス割り振りも誘導されてる感じなのが嫌でした。
 このゲームではレベルアップするとボーナスポイントが与えられ、STRやINTといった各種ステータスへ割り振れるのですけど、魔力系を強化しても魔法やスキル自体に使用回数制限があるため使い勝手が悪く、どうしても戦士系のパラメータに偏ってしまいます。 また、装備品には全て装備に必要な能力値が決められているため、強力な武器や防具を装備する為には必要なパラメータを上げざるを得ない…という感じでパラメータ割り振り仕様にしたメリットがほとんど無いのが残念です。

 あとは「やり込み要素が無い」のも個人的に結構不満。 レベルは20で頭打ちだしアイテム取得率も割りとあっさり100%になってしまう。 武器の熟練度やガーディアンのレベルも大した時間もかからずにMAXまで持っていけるので、あまりじっくり腰を据えてプレイするのに向かないゲームかなぁと感じます。

 それともう一つ、これは不満というより要望に近いのですけど、ダンジョン内に鏤められてるパズル要素がヌルすぎです。 このゲームはアクション要素が低い代わりに特定の位置まで箱を移動させてスイッチを押す…という『倉庫番』もどきのパズルがダンジョンの至る所に配置されているのですけど難易度低すぎ。 中には絶対に解けないと思えるものもあるのですけど、そういったものは大抵何らかのアイテム入手後に訪れればあっさりとクリアできてしまう張り合いのなさが泣けてきます。


 まぁ不満点ばかり書いてしまいましたけど、細かい演出などが凝っていて臨場感がありましたし、ゲームバランスも素晴らしく、最後まで飽きることなくプレイできたのは流石老舗メーカーと言ったところ。 ボスキャラも攻撃パターンが豊富でなかなか楽しめました(弱かったけどね)。
 ストーリ面でもやり込み方面でも今ひとつ物足りなさを感じたことは確かですが、地味な正統派RPGとしてはそれなりの満足感や達成感は得られたかなと思います。


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO