Rascal・改 − Game Impression
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桜待坂Stories Vol.1
発売日:2004.07.30 / ivory
 ゲームの進行状況としてはCG達成率95%。 一応どちらのシナリオも一通りエンドを見てお祝いCGが表示されたので終了。 プレイ時間はコンプまで10時間超といったところでしょうか。

 桜待坂という街を舞台にした2つのシナリオがプレイできるオムニバスADV。 物語的な繋がりはありませんが、同じ街が舞台ということで他シナリオの登場キャラが他人として登場する場面がいくつかありました。

 あと特徴としてはエロシーンの「ふにぷにシステム」が挙げられます。 これはエロシーンでマウスカーソルをCGの各所に移動させることで形状が変化し“キスする”とか“もむ”といったアクションを行えるようになる…というもの。 これだけだと『同級生』などの昔のエロゲで良く使われていた仕様ですけど、このゲームでは胸を揉むときにドラッグしたマウスカーソルの動きに合わせて乳房がぷにぷにと動くのです(笑)。 特に乳首を弾いたときの動きなどはなかなか拘りが見て取れて好印象でした。 このモードが鬱陶しいときはスキップも可能という配慮も嬉しいところ。


 あとはシナリオごとの雑感をさくっと書いておきます。


フレンズ to Sweets

 この春から桜坂上学園へ通うことになった主人公「大野 誠」。 ある日、彼は公園で捨て犬を見つけて途方に暮れていた「永瀬 由紀乃」と出会う。 お互い顔見知り程度の関係だった二人だが、飼い主が見つかるまで主人公が仔犬の世話をかって出たことで二人の仲が急展開をみせる…というあらすじ。


 出会ってから急速に付き合うことになって、付き合いながらお互いが抱えてる悩みなどを分かち合い、理解し合っていく話。
 付き合い始めたばかりの序盤は、とにかくもうこれでもかと言うくらいのラブラブいちゃつきっぷりで、Hとか料理とか互いに何をするのも初体験だけど二人で協力し合いながら楽しげに過ごしていく日常描写が秀逸。 まさに都築節が炸裂といった感じの展開は見ていて非常に初々しくて癒されました。
 またヒロインの由紀乃のキャラも良く立っていたと思います。 口調が「〜なんじゃよ」とか「うおー」とか妙にオッサン臭いのですが、声優さんの演技が素晴らしく、あまりあざとさは感じませんでした。 由紀乃の親友キャラである瀬奈もサブキャラにしておくのが惜しいくらい魅力があってよさげです。

 後半は次第に互いの設定の深いところに入っていき、お互いが抱えてる悩みを知るに至って段々と恋に対する不安などが現れてくる流れ。 「楽しいだけが恋人じゃない。辛いことや苦しいことも共に分かち合う」という至極当たり前のことを上手く描いていて、主人公やヒロインの言動に不自然さを感じなかったのは流石ですね。 終盤ヘタレる主人公やヒロインを多数見てきた身としては全く不快感を感じずに最後までプレイできたことが妙に嬉しくもあり新鮮にも感じられました(笑)。

 エロシーンはおまけシナリオも含めて11+1。 「ふにぷにシステム」が少々煩わしく感じたこともありましたが、全編にわたってラブラブ和姦で萌えエロゲーとしては十分満足。 初代『とらいあんぐるハート』のように次第に猿のようにHにはまって、慣れていく描写も個人的にはツボでした。

 システムまわりの注文は主人公名がデフォルトでも名前で発音してくれない(無音状態になる)ことくらいですね。 致命的なバグというのは少なくとも私の環境では発生しませんでした。 バックログの閲覧では文字だけでなく、音声や立ち絵の表情、イベントCGまでも一緒に戻るという仕様になっていて良かったです。

 全体的なボリュームは少々物足りなさを感じたことは確かですが、話の展開やキャラの魅力、そしてエロシーン…と萌えエロ展開としては全てにおいて高い水準で満足できて良かったと思います。


花蝶楓月

 主人公「久和島 修司」はそれなりに名の知れた日本画家。 広い屋敷に義妹の「楓花」や家政婦の「藤間 羽依」、そして居候の「鴻村 志乃」らと共に暮らしていたが、ここ最近の主人公は原因不明の頭痛に悩まされていた…というあらすじ。


 「フレンズ to Sweets」と異なり、こちらはヒロイン毎に4つのエンディングが存在します(一部ヒロインと呼ぶのに抵抗を感じるキャラが居ましたが気にしない方向で)。 日本画家で常に和装という主人公の設定に加え、物語の大半が広い日本家屋の中で進行していくので雰囲気的には和風で統一(というか強調)されているのが特徴でしょうか。

 話の展開としては主人公が毎晩のように明析夢を見るようになり、その夢の中で家人達を緊縛して楽しんでいるのだが昼間の主人公はそのことに後ろめたさのようなものを感じつつも刺激的に感じていて…という暗めの流れ。
 夢自体は精神的な要因によるものですし、最後の夢との決別も言いたいことはわかり易いのですが、基本的にどのルートでも話の流れはほとんど一緒なのが拍子抜けでした。 特に羽依と志乃などはエロシーン以外は全く同じになっており、決して長くはないシナリオにも関わらずプレイしていて退屈に感じてしまったのは問題かと。

 あと主人公の年齢は恐らく30台半ばだと思いますが、色恋沙汰にはかなりドライな印象を受けます。 羽依と志乃の両方ともに肉体関係ありだけど特に意識はしてないし、妹の楓花に対しては恋愛やエロ対象ではなく、弟子の男の子(観月)との仲を微笑ましく見守るという感じなのがちょっと新鮮に感じました。 まぁヒロインのキャラ立ては悪くなかったですし、ゲームの特徴としてこれはこれで良いかなとは思いますけどね。 ちなみに弟子の観月(美少年キャラ)にもちゃんとエンディングがありました(苦笑)。

 エロシーンは大部分が夢の中の出来事で、ほとんどが緊縛シーンとなっています。 個人的に緊縛は属性外ということもありましたが、単に縛ってるだけ…という感じで緊縛に対するこだわりのようなものが皆無だったのが残念。
 夢以外でも一応二人ほどエロシーンが存在しますが、先に「フレンズ to Sweets」をプレイしてるとどうしても盛り上がりに欠ける印象を受けてしまいます。

 システムまわりは「フレンズ to Sweets」同様になかなか安定していました。 こちらは主人公への呼称が「先生」とか「兄様」なのでボイス的な不満もありませんでしたしね。
 あとシステムとは関係ありませんけどOP曲の「花蝶楓月」がゲームの雰囲気に合っていて結構気に入りました。 というかこれが一番の高ポイントだったり(笑)。

 話的には少々盛り上がりに欠ける上に、複数のヒロインを用意していながら展開がどのヒロインもほとんど同じという一本道シナリオなので手抜き感を感じてしまったのが勿体無いなぁと言ったところでしょうか。



 二本のシナリオのうち「フレンズ to Sweets」が予想以上の萌えエロ展開で非常に高い満足感を得られた反面、「花蝶楓月」は雰囲気だけは良かったけど展開が退屈な凡作といった感じなので総合的な満足度は少々落ちますが、オムニバス形式のゲームとしては十分に良作に入るタイトルだと感じました。

私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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