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「ママコレ」 マージ-MARGINAL- MaterialCollection
発売日:2005.03.25 / ACTRESS
 2003年1月に発売した『マージ-MARGINAL-』の素材集とゲーム本編が収録されています。 本編の方は当時気になりつつも未購入で、機会を逸してるうちにロットアップとなってしまった経緯があるので、この機会にやってみようと思ったのが購入理由。 ゲーム本編の方はあくまで「おまけ」との事ですが5040円という価格の8割はこのおまけ故じゃないかと思う(笑)。

 素材集の方は「壁紙」「特典テレカ画像」「特典小冊子画像」などかなりのデータがありますが、ただ単に色々突っ込んだだけって感じで、もし私がこの画像目当てで購入してたらハッキリ言ってぶちキレていたと思います(苦笑)。 まぁ壁紙は割とよさげなのもありましたけど。

 そんな訳で素材集に関する感想は省きます。 立ち絵や線画データを見て「この表情がそそられますなぁ」とか書いても仕方ないと思うし。


マージ 〜MARGINAL〜 (ACTGS版)

 全CGを埋めてコンプリート。所用時間は1stプレイ5時間、2nd以降は4時間前後といったところでしょうか。 旧版との違いはシステムがMEGUからACTGSとなったことと、ボーカル曲を除くBGMが一新されたことで、他は旧版と同じようです。

 天涯孤独であった主人公「天璋院 糾」は自分に祖父がいて、かつ危篤状態であることを知る。 そして病床の祖父から遺産として山奥の洋館の鍵を譲り受け、祖父の死後にその館へとやってきた。 管財人から「ここ数年は無人」と聞かされていた洋館だが、主人公が訪れたときには5人のメイドさんが出迎えてくれたのだった…というあらすじ。


 ゲームは1日のうち「朝・昼・夕・夜」と4回の場所移動…というより会話するヒロインを選択していくことで進行していきます。 基本的に1人のヒロインに絞って会話していればそのヒロインとのエンディングになるので難易度は低め。 ただメインヒロインの「マージ」は他キャラのエンドを全て見た後でないと攻略できません。 全ヒロインのエンドを見た後はおまけシナリオがプレイ可能。

 ゲーム序盤は豪華な洋館での生活に戸惑う主人公と「ご主人様」と無条件に慕ってくるメイド達との交流がメインで展開していきます。 ヒロイン達は主人公に対するセリフや態度などから性格を把握することは容易でキャラ立ては悪くないかと。 ですが話のテンポが悪くてシナリオ展開への吸引力は今一歩という印象を受けました。
 話のテンポを損ねる最大の原因は主人公。 ヒロインが何か思い悩んでいたり何かに怯えていてプレイヤーには原因が理解(又は予想)出来ていても主人公は「察する」という芸当ができず、具体的に言葉で1から10まで説明されないと分からない。 そのくせ会話になると「その…」「えっと…」と歯切れが悪く具体的なことを聞き出すことに躊躇してしまって話がなかなか進まずイライラしてきます。
 かと思えばヒロインが秘密にしておきたいような事は無遠慮に訊ねたりして、どうにも生理的な部分で受け付け難いものがあって主人公とのシンクロ率が低かったのも話に集中できなかった要因でした。 ただこの主人公…エリカルートでのエロ行為に対する主張やファムシナリオでの言動などから察するに、どうも中学生っぽいんですよね。 平家物語という単語を初めて見たような記述もあり、小学生かも…とも思いましたが10年前に館を訪れているようなので少なくとも中学生以上ではあるようです。…にしては言動があまりにも(以下略)。

 中盤以降でルートが確定すると対象ヒロインの過去が描かれ、それを踏まえた苦難を乗り越えていく…という流れになります。 ヒロイン達は最初から浮世離れしていて、ぶっちゃけ人外だということや正体までは容易に予想できるのですが、過去の出来事とそれによって負った心の傷など設定の描き方は割と良かった。 ただその設定を踏まえて主人公と共に乗り越えていく展開の方は少々盛り上がりに欠ける印象を受けます。 理由はやっぱり主人公…。 例えば人外であるヒロイン達の正体に関しては割とすんなり受け入れたのに、序盤から何度も会話に出てる「悪霊」や「敵」の存在に関しては何故か頑なに否定的なのが不自然に感じてしまい、実際に悪霊などと対峙したときの主人公の動揺っぷりが凄く滑稽に見えます。

 また、マージ以外のヒロインに関しては苦難を乗り越えてエンディングを迎えても「真の敵はまだ他に居る」というような連載打ち切り漫画みたいな終わり方でどうもすっきりしないのも不満。 ラスボスが外せないなら各ヒロイン個別のシナリオを全て共通ルートにして、マージシナリオ1本で行った方がヒロイン達との結束が深まるし、思い入れも増すと思うんですけど…。
 あとは演出的な不満もあります。 終盤の展開ではバトルシーンのあるルートが多いのですが、なんかテキストが淡々としてる上に効果音も無く、はっきり言って全然燃えません。

 エロシーンは1キャラあたり2〜3回。 アクトレスということで割と期待していたんですが、見事に肩透かしを食らいました。 CGの無い黒画面がしばらく続く場面が結構ある上に描写自体も薄い。 更にここでもやっぱり主人公の言動がネックになっていて、潔白主義というかヒロインに同衾を求められても「一緒に寝るのは良いけどエッチなことはしちゃ駄目だよ」とか言いやがります。 主人公は「優しい」というのが売り(笑)なのですが、エロ行為に関してはなんか勘違いしてる感じ。 むしろエロ行為に対して嫌悪感すら持ってるんじゃないか?と感じられました。なんでこんな奴がエロゲの主人公やってんでしょうか。

 システム的には旧版は「選択肢のあるポイントでのみセーブ可」という変な仕様だったようですけどACTGS版はいつでもセーブ可能。 CGはエロシーンで黒画面の箇所があったりと不足ぎみ。他に立ち絵の切り換え描画がかなり遅かったのも気になったところです。
 BGMの方は旧版を持っていないのに何故かサントラだけは持っているので今回のと聴き比べてみましたが…はっきり言うと旧版の方が圧倒的に良い感じでした。 曲数や曲名は全く同じですけど、どれもこれも旧版のBGMでプレイしたかったと感じるものばかり。 転用騒ぎがあった為に一新したのでしょうが、正直言って「手抜き」とすら感じますよ。唯一「芙月華」だけは今回の方が良かったけどね。 ボーカル曲の方は同じで、個人的にはOPの「You can fly」が結構気に入っています(だから旧版のサントラを入手した訳ですが)。



以下、キャラ毎の雑感(ネタバレあり)。


アメリア・フォスリーゼ
 お人形さん。メイド達の中ではマージに次いで戦闘力が高い。 彼女が精霊として覚醒するきっかけとなった最初の主人に纏わるエピソードとその後の感情を捨てていく過程など、話の展開は個人的に悪くないと思うのですが終盤での感情を持ったことによる弱さを恐れる描写などであまり強烈に訴えかけてくるものが無くてちょっと勿体無かった。 あと最初のエロシーンはマジ泣きする主人公が情けなさすぎで萎えた。

水代このは
 姉の仇を追いかけて館周辺に迷い込んだドジっ娘巫女さん。 メイド達と仲良くしたいのに無意識に余計なことを言って心象を悪くする特技の持ち主。 この娘はアメリアの最初の主人の転生体なんでしょうかね。それとも同じ事が出来て顔も似てるだけなのか…。 主人公との恋愛描写はお互い自信の無さから恋愛に臆病な者同士のもどかしさを感じますが、それがいいのかも。 エロシーンは消耗したこのはに主人公の精力を与える房中術となるんですけど…描写薄い。

エリカ・ブラウン
 雨嫌いな猫。一応ヒロイン達のムードメーカー的な存在だけど、メイドとしてはかなり微妙な存在(笑)。 一生懸命尽くしても届かない想いというのを描いてるためか、どうにもエリカに対する主人公の言動がヘタレぎみでキツかった。 誕生日に絵を書くという目的は悪くないけど展開やオチが何となく読めてしまったのも残念。

フィン・テンニエス & フォニーム・テンニエス
 狐母娘。二人セットでのシナリオとなってます。 「あらあら、まあまあ」とのほほんなフィンさんも魅力ですが、それ以上にファムのツンデレっぷりが強烈。 敵意むき出しだったファムが主人公と打ち解けるきっかけになったイベントや、その後の互いに惹かれ合い主人公にベッタリになっていく過程の描写がかなり良かった。 それまで母親のフィンにべったりだったファムが主人公との関係に嫉妬してフィンに敵意すら抱くようになるなど愛憎の変化が激しいが、そんなところも含めてプレイ中はファムに対する思い入れが強かったので薄いエロシーンですら割と良く感じてしまったほどです。

マージ・フォイエルバッハ
 狼娘。主人公に対して「くうぅ〜ん」と照れまくりな描写とシリアス時とのギャップがなかなかよさげ。 ただシナリオ展開はこのゲームの〆とするにはマージの過去描写も含めて淡々としてる印象を受けました。 主人公の両親の件も設定だけを書き連ねてるという感じがしましたし、そもそも祖父は何故ミラルカを仲間として迎えることをしなかったのかが語られてなかった気が…。 精霊に好かれる家系な上にミラルカは祖父を好いていたのだからわざわざ敵のままにしておく事も無いと思うんですけど。 あとは最後の展開もちょっと安易すぎて白け気味でした。

 

 なんか不満ばかり書いていますがヒロインの魅力は良く描けていて萌え度は割と高めなので満足度は低くないです。 あとは主人公に少しでもシンクロできれば良かったんですが結局最後まで同調できず、この辺がちょっと心残りではあります。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

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