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誰彼 〜たそがれ〜
発売日:2001.02.09 / Leaf

◇ あらすじ

 五十年前の大戦時に帝国陸軍の特殊歩兵部隊に所属していた「坂神蝉丸」。 彼は「仙命樹」という特殊な生命体をその身に宿し、普通の人間では得られない運動能力と回復能力、そして不老不死の肉体を得た「強化兵」だった。
 大戦末期より眠りにつかされていた蝉丸…その彼がどういう訳か突然目覚めてしまう。 薄暗い地下室で目覚めた蝉丸はかつての仲間に自分の肉体を破壊されかけるが、偶然それを目撃してしまった「月代」と名乗る少女のおかげで窮地を脱することになる。
 その後、月代の祖父が自分と同姓同名であることを聞き、月代の家を訪ねた蝉丸は意外な事実を知ることになるのだった。


◇ ゲーム概要

 「ACTIVE DRAMATIZE NOVEL」と名付けられたこのゲーム。 基本的には随時出現する選択肢を選んでいくことで進行・分岐する従来のスタイルと変わりませんが、要所要所で5頭身くらいのチップキャラによるアニメ…というかオートアクションシーンのようなものが挿入されていて、各キャラの動きが上手く表現されています。

 エンド総数はバッドエンドを除くと6種類…かな? ただし、初回プレイでは一部のエンディングしか到達できない作りになっていて、各エンドを迎える毎にゲーム中の選択肢が追加されていくようになってます。 選択肢の数はそれほど多くないですし、物語もそれほど長くないのでエンドを迎える度に最初からやり直していけば全エンド到達は比較的容易にできると思います。


◇ システム

 インストール時に高画質OPムービーをインストールするか聞かれます。 高画質OPムービーを入れた場合の総容量は約577MBほど。
 画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンの二通りで、一度設定すれば次回起動時にもその設定は反映されます。 メッセージはフォントの指定(標準・明朝・ゴシック)と表示速度が設定可能。 スキップもCTRLキーやテキスト枠の左にあるスイッチにて可能で、既読・未読のチェックもしてくれる上にテキスト履歴閲覧も装備されていて不満はありませんでした。

 セーブやロードはアニメ処理中は不可。 セーブ領域は20ヶ所ですが、個人的にはもう10ヶ所くらい用意してもらえるとあり難かったかも。
 なにかと発売直後はバグ騒動が耐えないLeafですが、今回は私の環境では特に目立った不具合は見当たりませんでした(笑)。


◇ グラフィック

 原画は「カワダヒサシ(ら〜YOU)」さん。 やや角張った目が特徴的…でしょうか。 立ち絵は標準的なものよりやや大きめのサイズだし、各キャラの表情パターンも豊富でなかなか良いと感じました。 アニメでもキャラにあった仕草が良く出ていて満足しています。

 CGの方も質は高めで枚数的にも多くも少なくもなく。OPムービーもよく出来ています。
一度バッドエンド以外のエンディングを迎えるとCGモードが追加。
二度目でリプレイモードとしてエロシーンの回想が追加。
更に三度目でOPムービー鑑賞が追加されます。


◇ サウンド

 CD-DA再生の全20曲+主題歌2曲+おまけ1曲という構成。 曲の方はなかなか良いと思います。 個人的に気に入ってるのは『ソーサリアン』のOPに似ている「零れ落ちる星の中で」かな(笑)。 他に「Kaleidoscope」「溶けあう心」、そして妖しげな声がナイスな「FLASHBACK THE BLOOD」あたりも気に入ってます。
 OPの「旅人」とEDの「心(SORA)」は男性ボーカル曲。EDの方はなかなか良い感じ。

 音声はなし。 音楽モードはバッドエンド以外のエンディングを四回迎えればトップメニューに追加されます。


◇ 感想まとめ

 まず、このゲームは主人公と一体になるのでは無く、常に第三者的な位置から物語を見ることに徹する必要がある作りだと感じました。 なにせ主人公とプレイヤーの間には情報格差…特に主人公の知人に関する情報に差がありすぎて感情移入できず、後になって「あ、コイツと主人公ってそういう因縁だったの?」となる場合が多いんです。 このゲームの売りになってるチップアニメも演出としては良いと思うけど、プレイヤーを客観的な位置に置き去りにする要因になってしまってると思います。 ただ恋愛ゲームでは無いので個人的にはプレイヤーが客観的立場でも、それ自体には不満は感じてません。

 私が不満に感じたのは物語の構成というか展開というか…主人公の設定や舞台設定や配役は良いものが揃ってるのにそれを活かしきれずに中途半端で終わってしまってる感じがしたこと。 これは分岐するルートによって設定が思いっきり変化する作りにしてしまったのが原因かと。 嫌いな手法ではないんですけど、元々無いボリュームを更に薄くすることもないのになぁと思うんですけど。
 それと展開が物語の鍵となる「仙命樹」に頼りすぎという感じがしました。 この仙命樹というのは宿主である主人公の肉体に常人とは異なる能力を与えているもので重要なのは判るんですけど…これが場合によって「都合が良すぎる使われ方」だと感じて白けてしまうことが何度かありました。
 あとは通常のADVパートでの会話が誰の台詞か分かり難いというのもあります。 特に主人公と蝉丸老人の会話などはどっちの台詞かを把握するのに一苦労だったんですが…これって私だけでしょうかね。

 エロシーンは先に書いた仙命樹がここでも大活躍してまして、少々濃厚なシーンへ強引に持っていってくれます(笑)。 ただ幼い外見のキャラが多いので嗜好が合わない人には厳しいものがあるかも知れません。

 兎にも角にも過去のLeaf作品と比較すると明らかに小粒な印象を受ける作品。 CGや音楽などは非常に質の高いものになってるだけに勿体無く感じてしまいました。


◇ お気に入りキャラ

 敢えて挙げるなら「桑島高子」でしょうかね。
イマイチ設定や立場が見えてないんですけど(苦笑)。


◇ 備考

 所要時間: 1プレイ1〜2時間。コンプリートまで約8時間


私的満足度: ★★★★★ ☆☆☆☆☆

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