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Tears to Tiara 〜ティアーズ・トゥ・ティアラ〜
発売日:2005.04.28 / Leaf
 難易度「普通」でプレイしてCGと回想は全て埋めました。 現在おまけルートをプレイ中ですけど…あんなのにどうやって勝つんだよ…って感じで苦戦中。

 魔王復活の生贄として神聖帝国の司祭に拉致されたゲール族の巫女「リアンノン」。 だが目覚めた魔王「アロウン」は司祭の傀儡となってしまったリアンノンの心を解放し逆に司祭を葬ってしまう。 リアンノンは魔王の妻になることを誓い、リアンノンの兄「アルサル」と共にゲール族を率いて神聖帝国を相手に戦いを始めるのだった…という出だしのファンタジーSRPG。


 物語進行はADV形式で分岐の無い一本道シナリオ、戦闘は半リアルタイムのタクティカルバトルになってます。 基本的には全体MAP上から戦闘ステージを選択し、戦闘が終了したら拠点に戻ってイベント発生…という流れを繰り返しますが、一部で建物からの脱出時などで連戦を強いられる場合があります。 ただ戦闘中のセーブは不可ですけど戦闘の前後ではセーブや装備の変更が可能ですし、1ステージ毎にHPやMP、更に前の戦闘で戦線離脱したキャラまで回復しているので特に身構えることも無いんですけどね。 個人的にはもう少しシビアにしても良かったんじゃないかなと思いますけど。

 戦闘は移動や攻撃対象、攻撃手段、魔法の選択まで細かく指示できますけどユニットが増えてくると流石にかったるくなります。 CPU任せでも極端に馬鹿なことはしないですし、ユニット単位で「回復優先」とか「突撃」などの行動方針を選べるので必要に応じて細かい指示を与えてやるだけでもそこそこ行けると思います。
 キャラのステータスはダイレクトに戦闘に影響する上に、装備品の効果やキャラ育成の幅が割と広くて好みのユニットに育てやすく、それによる戦略的な(ガチガチに防御力を高めるか圧倒的な機動力で敵に切り込むかなどを模索する)楽しみが増すのは好印象でした。

 レギュラーメンバー以外にも汎用ユニットを作成することが可能で、転職することで主要キャラ以上に使えるユニットを作れるのもやり込み要素としては面白い。 ただ物語の中盤で主要キャラの一部しか使えないステージがあるので汎用ユニットに頼りきってると泣きを見るかも知れませんけど…。 まぁレベルが足りない場合はフリー戦闘ステージがあるので経験値稼ぎはいくらでも可能だし、少なくとも難易度「普通」では特に苦労することなくエンドまで行けたのでSRPG的には結構ぬるい方だと思います。

 次いで物語の方ですが…主人公は復活した魔王アロウンなのですけど登場直後は何者なのか判らない上に意味深なセリフを乱発してくるのでプレイヤーが主人公と同調するのは難しいです。 実際ゲーム中は選択肢などで物語の進行を促すようなものは一切なく、プレイヤー置いて行きぼり状態で勝手に話が進行していき、やることと言ったらせいぜい戦闘指示くらい。 最初から主人公に感情移入しまくりだった同社の『うたわれるもの』と大きく異なり、今回のプレイヤーは物語を眺める傍観者と言った感じです。

 感情移入度が皆無とは言っても物語への吸引力はなかなか高め。 プレイヤーの好みにも寄るでしょうが私自身は序盤から乱発される意味深な伏線がどのように明かされていくのかが気になり時間を忘れてプレイできました。 未消化の伏線がいくつか見られはしましたがスケール的にはかなり大きな物語で、世界観や主人公の過去にまつわる設定などは割と楽しめたと思います。
 ただそれらの設定から今現在の主人公を形作るまでの経緯が少々弱いかなと感じました。 ちょっとネタバレぎみになりますが、かつて自分が信じてそして行動してきた事と正反対の事を行う決意をする描写があっさりし過ぎなんじゃないかなぁと。 具体的にはプリムラ絡みのイベントをもっと用意して欲しかったです。 プリムラはタイトルにもなってるティアラを絡めてもっと詳細に描いても良いと思うし、実際に某妖精王と同じくらい重要と思うんですけどね(あいつらは“二人”と縁のある血筋だろうし)。

 主人公だけに限らず、各キャラの言動の動機付けとなる描写は全体的に弱く感じられるのが残念。 ほとんどのキャラは「誓約」だの「一族の掟」に基づいた言動なのですけどプレイヤーである私にそれらの“重み”があまり伝えられてないですし、正直ヒロイン達が主人公を慕ったり股を開くのに都合の良い設定だなと感じたくらいです。
 まぁ全体的な物語はシリアス調ですけどキャライベントのほとんどは会話のノリやテンポがよく、割とコミカルな雰囲気のものも多いので、都合の良い設定もネタとして楽しめはしましたけどね。 アザラシ妖精の設定は流石にどうかと思ったけど…。 ちなみに個人的なお気に入りイベントは主人公が洗濯されるイベント。 汗臭いからと洗濯物と一緒に洗いダライの中で洗濯される魔王って想像しただけでシュールです。

 エロシーンのあるヒロインは8人で、1人あたり1〜4回発生。ちなみに全員初物。 この世界は一夫多妻が当たり前のようで半分以上は主人公の妻となり他のヒロインも普通にそれを受け入れてます。
 ただ、ほとんどのエロシーンはヒロイン側から主人公を襲う展開で、主人公自身は来る者拒まずだけど微妙に冷めてるし、尺も内容も特に特筆すべき物がないので少々興ざめでした。 せっかく大勢の妻が居るのだから拠点にいる時くらいはコマンドでいつでも好きなキャラを呼べるような作りにして欲しかった。 つーか、個人的にはかなりどうでも良いピンクメガネの「エルミン」が4回もエロシーンがあるのに「オクタヴィア」や「スィール」が何故2回だけなのかと小一時間(ry

 CGは枚数的には満足。ただ全体的に塗りがベタッとしてるのと、立ち絵とイベント絵でキャラの顔が違う印象を受けるのが気になりました。 イベント絵の方が数段可愛いです。 音楽は相変わらず良質ですね。 挿入歌「Tears to Tiara -凱歌-」はかなりお気に入りだけど初回特典のアレンジCDには入ってなくてしょんぼりです。 OP曲もGameSize版しかないし、フル版聴きたければサントラ買えってことなんでしょうね…。

 このゲームのジャンルとメーカーからどうしても『うたわれるもの』と比較してしまいますが、戦闘システムに関しては大幅に向上していると感じられた反面、ヒロインや物語的な好みは『うたわれ〜』の方が上と言ったところ。 やはり主人公とのシンクロ率の違いが大きかったのだと思いますが、イベントの“熱さ”は今回もなかなか良くて満足度は低くないです。

私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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