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ねがぽじ 〜お兄ちゃんと呼ばないでっ!!〜
発売日:2001.04.06 / Active

◇ あらすじ

 いつも底抜けに明るい女の子「広場まひる」。 だがそんな彼女も自身の貧相な体つきにコンプレックスを持っていて体育時の着替えなどはいつも隅っこでコソコソと行っていた。
 ところがある日、ふとしたきっかけでずっと女の子だと思っていた自分が実は男の子であることが判明して大騒ぎに。
 それから2ヶ月の入院(検査)期間を経て再び学園に戻ってきたまひる。 何もかもがネガポジ反転してしまった生活に溶け込んでいくことができるだろうか?


◇ ゲーム概要

 ゲームは途中に出現する選択肢を選んでいくことで進行・分岐していくオーソドックスなADVです。 ゲーム内の期間は1週間程度と短めですが、1日のイベントが豊富なのでボリュームが不足しているということはありません。

 登場する攻略可能なヒロインは3人。 選択肢の数が少なく、比較的分岐条件が解り易いので難易度は低めだと感じました(一応CD-ROM内に攻略チャートもありますし)。 エンディングはバッドエンドを含めて5つあり、バッドエンドの方にもハッピーエンドルートには無い展開やイベントが用意されているので全てのエンディングを見る価値はあります。


◇ システム

 インストールは最小で10MB、標準100MB、最大で350MBの空きHD容量が必要。 最大インストールすればゲーム起動時にCD-ROMが不要になります。

 ゲームシステムはアクティブでお馴染みのもので、画面サイズは640×480の窓とフルスクリーンがあり、メッセージも既読スキップやテキストログ閲覧機能などの必要なものは一通り備わってますし、何より軽いので快適です。
 セーブやロードもゲーム中にいつでもでき、計10ヶ所まで保存可能。 その他にもゲームの節目でオートセーブされていきます。


◇ グラフィック

 原画は「風上旬」さん。 今回も頭と目が大きめの癖のある可愛いキャラを描かれています。 主人公のまひるは「女の子と思ってた男の子」って設定ですが中性的というよりも見た目は完全に女の子です。

 キャラの立ち絵は1〜3種類と少な目なんですけど、テキスト枠の左上に各キャラの顔CGが表示され、そのパターンも豊富なので表情変化に乏しいということはありませんでした。
 CGは背景など比較的よく描かれていると思いますが街中や学園でも背景にエキストラの方々がいないので少々寂しい感じも受けました。 イベントCGなんかはいつものアクティブ並と言ったとこでしょうか。 少々枚数が少なくて個人的には物足りなさは感じます。
 おまけ機能としてCGモード(HCG、通常CG、立ち絵、背景)や、おかずモードとしてエロシーン回想を閲覧可能です。


◇ サウンド

 DirectSoundかMIDIから選択でき、曲数は計18曲。 個人的には特に印象に残ってる曲というのはありませんでしたけどなかなか良い感じでした。

 音声は主人公も含めてフルボイス。 演技のほうはどれも質が高く満足しています。 ちなみに設定で男キャラの音声をOFFにできるんですけど、主人公のまひるも一応男という設定なので男性OFF時には喋らなくなります。 声優さんは女性の方なんですけどね(笑)。 まひるの口調とかはなかなか笑えるのでプレイの際は男性キャラもONでやることをおすすめします。

 おまけとしてBGMモードがあります。 それとCD-ROMの中に「お兄ちゃんでしょ!」他のMP3ファイルがありますので聴いてみると笑えると思います。 他にシステムボイスやゲーム中の演技のNG集などがあって面白いですね。


◇ 感想まとめ

 男だったキャラがあるきっかけで女の子に…というのはクラウドの『XChenge』をはじめ幾つか見かけましたが、女の子だと思ってたのに実は最初から男だった…というのは「無理あるだろ」と思いつつも前作『HelloAgein』が気に入ってたし、展開やまひるの笑顔に釣られて興味を持ちました。
 プレイ前はてっきり男だという事が判明したことで周囲から珍獣扱いされるドタバタ系を予想してたんですけど、予想に反して周囲の反応は冷たく、家庭環境も含めて結構辛い展開だったのが意外でした。 ただ「まひる」の持ち前の明るさが良く出ていて、以前から仲の良かった親友同士の会話等は『Hello Agein』のノリに近いので、それほど重苦しい悲壮感は漂ってないです。 それが逆に「まひる」の強さと魅力を上手く演出してますし、後半に「まひる」が苦悩するシーンを引き立ててると思いました。

 シナリオ展開は5つのエンドのうち4つがラブコメもの…かな? 主人公が女の子として過ごしていた時期から性別抜きに主人公に惹かれていたヒロイン達が、今回の騒動で主人公を想う気持ちや戸惑いなどの感情が良く出ていている展開になっていて良かったです。 エンディングなんかは「その後のエピローグが見たい」と感じてしまうくらい尻切れ状態なのが残念ですけどね。
 残る1つは、ある日主人公の背中に羽が生えてきて…という感じで他の4つと比べて毛色が異なってます。 このルートから迎えるエンドがTrueエンドだと思いますが、結構辛い展開な上にプレイヤーの想像や解釈に委ねる部分が多く存在します。

 個人的なこのゲームの不満点としては…前作なんかもそうだったんですが、各イベントシーンでの状況説明が圧倒的に不足している点でしょうかね。 しかもそういうシーンに限ってCG無しの黒画面になっているので、その場の情景が頭の中に浮かびにくいんですよ。 特にTrueエンド直前のシーンなんかは今二つくらい緊迫感が伝わらず、凄く勿体無いと思います。 あとは…透エンドはあっても良かったかなぁと(苦笑)。

 エロシーンはそれほどエロくないですね。 ただ個人的にはエロよりも主人公の行為に笑えたので結構満足しています(但しトゥルーエンド除く)。 笑えるエロシーンというのも珍しいので、コレはこれで一見の価値ありかと(笑)。 声優さんの演技も上手いですしね。

 Trueエンドのルートに比べて、他のシナリオが少々盛り上がりに欠ける感じがしましたけど、どのシナリオでもそれぞれ異なった見所があって楽しめたゲームでした。 前作『Hello Agein』が気に入った人はもちろん、設定やキャラに多少なりでも惹かれた人はプレイして損はないかも。 多少の鬱耐性は必要かも知れませんけど。


◇ お気に入りキャラ

 登場するヒロイン3人ともなかなか魅力的で目移りしてしまいますね。 ただやはり主人公のまひるが完全にヒロインを食ってる感じがしました。
 ヒロインの中では放送部の後輩の「蛍坂小鈴」でしょうか。 シナリオとしては「桜庭香澄」以外がどうしても尻切れ状態に感じてしまうのが残念なところでした。


◇ 備考

 所要時間: 1'stプレイ約5時間。コンプリートまで約10時間


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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