Rascal・改 − Game Impression
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処女(おとめ)お姉さま(ボク)に恋してる
発売日:2005.01.28 / キャラメルBOX
 全CGを埋めてコンプリートしました。 キャラメルBOXのゲームは全て購入しているから…というのが購入理由で特に設定に惹かれた訳ではありませんでした。 強いて書くならのり太氏の原画とZIZZのBGM買いと言ったところ。

 鏑木財閥の御曹司で女の子のような容姿をしている鏑木瑞穂は祖父の遺言でお嬢様学校である恵泉学園へ編入することとなり、更にその学園で全校生徒の憧れの対象である「エルダー・シスター」に選ばれてしまう。 はたして瑞穂はこれからの10ヶ月どのような学園生活を送ることになるのだろうか…というあらすじ。

 期間は6月から翌3月までの10ヶ月間でエピローグと夏休みを除いて全8話構成。 大体5話目までが共通ルートになっていて、それまでの選択内容によってヒロイン個別ルートへ分岐する流れになっています。 難易度はそれほど高くありませんが紫苑だけは某キャラのシナリオとほぼ共通なので、それに気づかないとちょっと苦労するかも知れません。

 個人的にプレイ前は設定に関して突っ込みを入れた時点で「負け」だと思って気構えてたし、主人公が内気系の男の子ということもあってある程度フラストレーションの溜まる展開を覚悟していたのですが…いやはや全くの杞憂でした。

 序盤はこっそり女装して女子校に転入したことによるお約束なシチュエーション(トイレ問題とか体育の着替え問題など)とか、主人公が段々と「お姉様」として染まっていき、ふと我に返って「orz」なポーズで自己嫌悪する様などが笑えて純粋にラブコメ物として楽しむことができました。

 演出面では恥ずかしさで顔が真っ赤になっていくリアクションや、ことわざや四字熟語、小説の登場人物名などが出てきたときに別ウインドウで薀蓄が表示されるのもちょっとした遊び心を感じて面白かったです。

 主人公は確かに内気系ではありますが、何事にも真剣に取り組んで立ち居振る舞いが完璧な上に男性が女性に向けるような思いやり(…って言うか実際にそうなのですけど…)にヒロイン達が惹かれていく様が上手く描かれています。 加えて色々な設定が設定倒れにならず上手くシナリオと融合してしているのも好印象。

 シナリオ自体は主に主人公が女として完璧な為にヒロイン達は憧れを抱くと同時に劣等感も感じていて主人公と親しくなればなるほどその気持ちが強くなっていく…いう流れがなかなか良い味を出していると思います。 これは要所でヒロインの心情をプレイヤー側に見せている演出も大きく貢献しているのでしょうけど…。
 更に女子校という世間一般の男性プレイヤーには無縁な場所であるにも関わらず、割と馴染みのある学園物ならではのイベントがテンポ良く発生してダレを感じなかった事や、サブキャラや攻略対象から外れた他ヒロインが味のある仕事をしていたことも好ポイントとして挙げておくべきでしょう。

 次いで不満点を挙げると大きく2つ。
まずは何と言っても「エロシーンが薄すぎる」のが一番の不満点として挙げられるかと。 回数的には1〜3回とキャラによって差があるのも不満と言えますが、とにかく短いのですよ。 比喩ではなくホントに三擦り半って感じで、思わず「はやっ」と口に出してしまうぐらいの短さでした。 まぁあんな美少女達に囲まれて禁欲生活を送ってるのだから当然…と言えるのかも知れませんけど、それならそれで回数で勝負して欲しかったなぁと思うわけです。 Hシーンへの入り方は結構良かったと感じるだけに勿体無い。

 あとはテキストが三行を超えるときに枠内で表示しきれずに改頁するのですが、ぶっちゃけ「読み難い」ので何とか工夫して欲しかったですね。

 CGはちょっと枚数的に不満はありますけど、ほぼ期待通りで満足。 BGMのほうも相変わらずシーンに合った曲が多くて良かった。主題歌も挿入歌もお気に入り。

あとはちょっとネタバレかも知れませんがキャラごとの雑感をクリア順に少し。

厳島貴子
 属性で言うとツンデレ系となるかな。 生徒会長で人望もそれなりにあるのに他人を敵か味方かでしか計れなかった考え方が主人公の影響で変化していく様とか、ペース乱されっぱなしになる様とか、主人公が女の子と会話するだけでヤキモチを焼く様とかめちゃくちゃ萌えなのです。

上岡由佳里
 元気系年下キャラですが、寮の秀でた才能を持つ同居人たちに比べて取り合えが無い自分を感じて、憧れ(目標)と現実の自分のギャップに苦悩したり、悩みが晴れたと思ったら主人公から裏切りを受けたと感じたり…と実は一番ダウナー系の話だったのは意外かな。 ちょっとシナリオの雰囲気で損をしている印象はありますね。

高島一子
 幽霊少女。 主人公とはある意味接点のあるキャラですけど、ヒロイン達の中では文字通り浮いてますね(幽霊だけに)。 一部ヒロインのシナリオにある程度絡んでくるキャラではありますが実質この娘の個別エンドはバッドエンド…という不憫なキャラ。 草柳順子さんのマシンガントークは割と良い味出してました。

周防院奏
 妹系キャラ。 明るい性格でも自分の生まれ環境に劣等感を抱いていてシナリオ上でもそれが核となっていましたが、鬱なシーンは早い展開で進行し逆に楽しいイベントを長く見せることで全体的なシナリオの雰囲気を良くしている感じ。 ヒロインキャラの中では一番恵まれてる印象を受けました。

御門まりや
 姐御系幼なじみ。 主人公が学園に馴染んでいくことに寂しさを感じたり、将来の決まっている主人公に対して目標がない自分に対する苛立ったりとか…やっぱりこういう悩みは主人公よりヒロインが演じた方が良いですね(苦笑)。 まぁ主人公もここでは朴念仁っぷりを披露してくれますけど、ねちねちと描かなかったのは個人的に好印象でした。

十条紫苑
 古風な大和撫子系キャラ。 ここまでのプレイ印象では貴子がぶっちぎりでしたけど、このキャラはなかなか卑怯な手を使ってくれたおかげで個人的お気に入りNo1キャラとなってしまいました。 最後にクリアすることを激しく推奨します。 ショップ特典CDに付いてるおまけエピソードも良い感じなので、そのうちDL配信とかしてくれると良いんですけどね…。

最初に設定を見たときは正直どうなるかと思ったものですが、始めてみればすっかり主人公に同調して女子校ライフを楽しんでる自分が居ました(苦笑)。 そんな訳でエンディングのときの卒業式は割としんみりとしてしまったりなんかもしましたが。逆に言うとそれだけ楽しめたと言うことで、個人的には十分満足できた作品でした。 瑞穂きゅんも可愛かったし。

私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

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