Rascal・改 − Game Impression
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IZUMO零
発売日:2005.09.22 / Studio e・go!
 初代『IZUMO』が気に入っているのでシリーズ買いしたタイトル。 プレイ状況的には1stプレイが終了した段階。 CGは結構空いているのですが…ちと2ndプレイを行う気力が沸かないので終了とします。 所用時間は…すっかり忘れてしまいましたがエンドまで約14〜15時間くらいだったかなぁ…少なくとも20時間は超えてないと思います。

 時は明治12年。文明開化真っ只中の時代に警察内部に悪霊退治を専門に行う組織が作られた。 その実動メンバーは様々な経緯で日本各地からやってきた6人の男女達。 彼らは自らを鍛えつつ、悪霊による事件を解決していくことになる…というあらすじ。


 ゲームはいくつかの章で構成されたSRPG。 章立てとは言ってもセーブしたときのファイル名を見たときに初めて章が変わってることに気付くほどなのでゲーム中に意識する事はほとんど無いです。 流れとしては基本的に通常イベントのADVパートと戦闘時のSRPGパートが交互に繰り返されていく感じのオーソドックスなタイプでした。

 プレイ開始してまず一番戸惑ったのは“特定の主人公がいない”こと。 つまり6人の登場キャラ達ほぼ均等にイベントが発生し、その度にプレイヤーの視点も変更されるのです。 この為、プレイヤーの感情移入度が大幅に損なわれ、結果的に「ただの傍観者」となってしまったことが私的には大きなマイナスでした。
 複数のキャラ視点で描かれるRPGで成功したり人気のあるゲームは過去にいくつも存在しますが、それらは各キャラ毎に異なるシナリオをプレイヤーがちゃんと操作し、キャラと苦楽を共有することで感情移入…もしくは思い入れが増したものがほとんどです(少なくとも私が気に入ったゲームに関しては)。 ですが…このゲームは基本的にストーリーは全キャラ共通なのに視点だけがポンポンと変わり、戦闘では全キャラをまとめて操作するという流れなのですよ。 これでは各キャラに感情移入などできる筈もありません。

 それでもストーリー面が楽しめればまだ救いはあったのですが…残念ながら笑ってしまうくらいチープな出来だったという印象です。 概略としては各地で頻発する悪霊事件…それらの事件を追っていくうちに明治という時代の変化に乗り遅れた士族たちの影が見え隠れして…というもの。 なんか「るろうに剣心」みたいだなぁと思う人が居るかも知れませんが“その通り”です。 ちなみに主人公達の剣術指南役は藤田五郎(斉藤一)でした。

 いや、るろ剣みたい…というのは個人的には構わないのですよ。 問題は主人公達が「何となく流れで仕方なく悪霊対策班に入っちゃった」というメンツばかりで、言われるままに何となく戦ってるだけの誇りとか信念などが無縁の連中ばかりで全く盛り上がらないこと。
 加えて、見えみえの「用意された悲劇」に白けまくり。 敵として登場する連中のほとんどが主人公達の誰かしらの関係者で、おそらく悲壮感など出したかったのかも知れませんけど…気の毒なくらい三文芝居臭さを醸し出していて痛々しかったです。

 恋愛描写も薄め。 大した心理描写もなしに突然「君がいてくれるから僕は戦えるんだ」とか言っても何の感慨も沸きません。 それとこのゲームのベストカップリングと思える組み合わせが選べないのも何だかなぁって感じです。 男3人、女3人の構成なんだから全ての組み合わせを用意して欲しかったところです。 なんかFDの『でぼの巣箱』ではそのベストカップリングのシナリオがあるらしいですが…個人的心境としては「なめんな!」ってなもんですよ。

 エロシーンは1キャラあたり3〜4回くらい発生します。 カップルの組み合わせを変えると計7種類くらいでしょうか。 互いの好感度によって1〜3回まで回数が変化するようですが、先にも書いたようにキャラへの感情移入度は低かったので個人的には思い入れの薄いキャラ同士のHを覗き見てる感じがして実用性はありませんでした。 エロ度としても従来の同メーカーのものと変わらないかな。 男も声ありなので気になる人はOFFにするのを忘れずに。

 戦闘シーンは“高さ”を取り入れているのが特徴。 敵ユニットが高い位置にいる場合は浮かせ技、低い位置にいる場合は叩き付け技を加えることで多くのダメージを与えることが可能。 更にこれらの技を各ユニットが連続して行うことでコンボが発生します。
 コンボが決まったときは爽快だし、高度の概念も戦術の幅が広がって面白いとは思いますが…この『IZUMO』シリーズでやる必要があったかどうかは甚だ疑問。 前作、前々作はフィールドタイプRPGでコンボも五行相性の順に攻撃を繰り出すことで発生し、それが『IZUMO』らしさと勝手に思っていたものですから。

 それと…ゲームバランスが劣悪です。 普通にシナリオの流れ通りに戦闘をこなしただけでは終盤とても付いていけません。 一度行ったステージには何度も修行に使えるのですけど、かなりの時間をその修行に当てないとラストステージでは目も当てられない結果になってしまいます。 特にラスボスは凶悪すぎ。 正直なところ、私はこの修行にかかった時間は全プレイ時間の2/3にあたります。 もしプレイ時間稼ぎのためにわざとバランス悪くしてるなら嫌がらせが過ぎますし、ベストなバランスと思ってるなら…初代『IZUMO』はまさに奇跡的な作品だったということになりますね。

 なんか文句ばかり書いてますけど、実際文句しか出てこないんだから仕方ありません。 唯一戦闘システムだけは評価できますが、その他のストーリー、キャラ、ゲームバランス…どれを取っても「あと一歩」なんて甘いレベルでなく、はっきり「駄目」と言い切れる出来だったと思います。 とても他のエロゲより高い11340円という値段に見合う内容ではありませんよ。
 話の内容的には一応IZUMO1に繋がるゼロという位置付けで問題無いと思いますが、なまじ初代の出来が(個人的に)秀逸だった為に期待度が高くなっていたのも敗因かな。


ヒロイン毎の雑感も少し(ネタバレあり)。


永峰 陽子
 弓使い。神戸出身で同じ悪霊対策班にいる永峰和人の妹。 ヒロインの中では一番影が薄かったかも。 宗一郎とのカップリングになりましたが互いに惹かれた経緯が全く不明。 最初は兄である和人を慕ってたのに、途中から兄のことは放置してるし…。 このキャラに限らず、カップル同士でのイベントがエロシーン以外でも欲しかったですね。

上杉 美園
 薙刀使い。東北の名門上杉流道場の跡取りとなる婿を探しに旅に出る。 幼なじみの虎之助はかつて上杉道場の門下生で、互いに憎からず思っているような感じなのだから、やっぱり虎之助と結ばれるのが自然な気がする。 今回のプレイでは和人とのカップリングになりましたが、男らしくない和人の態度を諫めていたのに、いつの間に恋愛感情にシフトしたんだろう?

玉城 萌夕
 唐手使い。琉球出身で父親探しの旅に出ていた。 で、実際に親父と出会って仲間に誘われるものの、それを拒否する訳ですが…。 旅に出るほど親父を慕っていたのに、その誘いを蹴るほど悪霊対策班に恩義も信念も感じられないのが厳しいですな。 今回のプレイでは虎之助とのカップリングになりましたけど、親父以上だと思えるようなやり取りも無かった。


キャラのお気に入り順は
 美園 > 陽子 > 萌夕


私的満足度: ★★★★★ ☆☆☆☆☆

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