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IZUMO3
発売日:2007.07.27 / Studio e・go!
 全CGを埋めてコンプ。 一巡目クリア(Lv50・カヤノEnd)に要した時間は20時間くらい…かな? 二巡目はレベル・装備・宝玉(召還は除く)を引き継いでテキストスキップしまくってたら約4時間で終了。 以降は途中のセーブデータ使いまわしてそれぞれ30分くらいでコンプしたので総プレイ時間は大体26時間くらいでしょうかね。 コンプ時のLvは58でした。白兎を倒したらLv52から一気にLv58に上がって吹いた。

 主人公「工藤駆」は唯一の肉親である妹「舞菜」が病弱で入院生活を続けているため、父親の実家「吾妻家」から支援を受けているが主人公自身は吾妻家に恨みを抱いていて一人暮らし。 保護者である吾妻弥生から学園生活を送ることを強要されてはいるものの周囲からは半ば孤立している状態だった。 そんな折に偶然親しくなった飛鳥井なつみから新聞部に誘われて活動していくうちに悪霊絡みの事件に遭遇する…というあらすじ。


 初代→2→零→狂奏曲と続いていた『IZUMO』シリーズの5作目。 2から数年後の世界ですが舞台となる街や学園は過去作と異なります。 世界観などはシリーズ過去作を踏襲してましたけど登場キャラにはそれほど強い繋がりは無く、新規ユーザーにも取っ付き易くはなっているんじゃないでしょうかね。 例外的にサブキャラ約一名が思いっきり初代のヒロインだったりしますが、知らなくても問題ないレベルだと思います。
 ヒロイン総数は5人。 全十章のうち8章の終盤までは一本道の共通ルートになっていて8章で最も多く会話したヒロインと結ばれる…という初代と似たような構成。 エンド条件には捻ったものは無いのでヒロイン選定で詰まることは無いと思います。


 話の展開は過去作のような異世界(ネノクニ)を訪れるものではなく、ヒトの劣等感など負の感情とそれを利用した悪霊によって構築される「狭間の世界」を浄化していく流れになってます。 んで、その狭間の世界の基となる負の感情を抱いてる人物にヒロインを充てることによってそのヒロインの抱えてる悩みや劣等感を理解し、救っていく展開になるので各ヒロイン毎の掘り下げ描写もそれなりに充実していました。

 このあたりは初代にあった四聖獣の祠イベントと似たような流れで悪くは無いのですが、個人的には今ひとつ盛り上がりに欠けるかなぁというのが正直なところ。 ヒロインの悩みを主人公が知って「そんな悩みがあったのか…でも俺は全て受け入れてやる」という流れだと妙に偽善臭く感じてしまうのは私だけでしょうかね。 悩みを理解するのはプレイヤーだけにして主人公は詳細を知らなくてもヒロインを受け入れる(または受け入れてくれることをヒロイン側が理解し、悩む必要が無いことを悟る)という流れの方が話として盛り上がると思うんですけど。

 また上記のように基本的に「ヒトの悩み」がベースとなってる世界が繰り返し発生することで先の展開や黒幕が容易に予想できてしまったり、ライバルに相当するキャラが不在(居ることは居るけど小物過ぎ)で燃え要素も不足していることも盛り上がりに欠ける要因になっていたと感じました。


 戦闘を含めたRPGパートのほうは個人的に好印象。 まず3Dフィールドをてくてくと歩いていくのは従来通りですけど右上に表示される簡易MAPがなかなかに見やすくて迷うことは無いですし、今回はシンボルエンカウントになっていて敵キャラがフィールド上を徘徊してるのが目視できるので不要な戦闘を避けやすいのも有難い。 動作も私の環境ではサクサクと動いてくれてストレスは感じませんでした。 ただ一点だけ…同じマップの使い回しは出来れば止めて欲しかったですね。

 戦闘は1や2と同じ素早さ順に行動していくターン制バトルに戻りました。 五行相生の順に行動することでコンボが発生するのも従来通りで、今回は法術もコンボを繋げる事で一度に複数人に掛けることが可能になってます。 まぁパっと見ではあまり変わり映えしませんが、個人的には安心感があって良かったですよ。

 敵キャラのバランス配置はやや温めですね。 序盤から中盤にかけてのボスキャラには苦戦する場合があるかもしれませんが、基本的にそのステージ内で一通り雑魚を掃討していけば後は宝玉の配置を工夫することで何とかなるレベルです(白兎や九十九御前という例外も居ますけど)。 とりあえず余計な経験値稼ぎをしなくても良いのは有難かった。


 エロシーンはヒロイン一人あたり4回、他に召還キャラの契約で8回といったところ。 召還キャラとのエロは尺が短めでいつものエゴゲーって印象でしたが、ヒロインとのエロは予想外になかなか良かった。 召還キャラと比べて尺が長めというのもありますが、それ以上にシチュエーション的にそそられるのが多かったのですよ。 特に鈴鹿との道場やシャワールームでのエロがお気に入り。 まさかエゴのゲームでエロ的に満たされる日が来ようとは思わなかった(笑)。
 ちなみに主人公もボイスありですけどエロシーンのみ主人公ボイスをカットできる設定があります。 あとエロシーンでの選択肢も一部を除いて無いのも助かる(色々と)。


 システムまわりは…セーブファイルをマイドキュメント直下に置くのを止めて欲しいと感じた以外はこれと言った不満はありませんでした。 今回は起動時にオフィシャルサイトで修正ファイルの有無を確認してくれる機能があったのですが、これは自分で確認する手間が省けてなかなか良いですね。 8/4現在ではこの機能をONにしてるユーザー限定で拡張パッチが配布されていて、舞菜のエロシーンが見れるようになっています。
 CGに関しては枚数は無難、質は良と言ったところ。 従来通り立ち絵でも瞬き処理がありましたし髪も細かく描かれていて絵が好みなら不満は感じないでしょう。 ちょっと雑魚キャラの使い回しは気になったけどボスキャラ(竜やパンダ)は良く描かれていたと思います。 某ステージではパンダの着ぐるみがチェーンソー持って襲ってくるのですが、チェーンソーを起動させる際の動きが個人的に気に入りました。 思わず画面に向かって「パンダ自重www」とか突っ込みたくなる。


 まとめとしてはRPGパートは一見して変わり映えしない、展開は二番煎じっぽい上に盛り上がりに欠ける…と否定的な感想が先に出てしまいますが、シリーズ物ということでどうしても過去作と比較してしまう訳で、目立った改善点やボリュームアップが無い以上は仕方ない。 プレイ中はゲームバランスやシステム面でストレスを感じることは無かったですし、ヒロインの掘り下げ描写もそれなりにあって文句を言いつつも楽しめたのは確かですから個人的にはエロゲーのRPGとしては良作に属する作品なんじゃないかと思っています。


以下、ヒロイン毎の設定覚え書き(ネタバレあり)。


飛鳥井 なつみ
 主人公とは気の合うクラスメイト。 『IZUMO2』の主人公の級友「鈴木」の姪っ子らしいが、あまり意味のある設定とは思えない。 新聞部を設立するにあたって主人公を巻き込む行動派ヒロインで夜の繁華街でよく見かけることから主人公と共に素行不良な生徒と思われている。
 獲物は鈍器(ハリセン・ハンマー・マトック)で前衛ユニットだが前衛としてはHPがちょっと低め。
 父親が事業を興して多忙なため家庭を顧みなくなった父親を避け、また幼い頃に変質者に襲われかけた経緯から異性との性行為を衝動的に拒絶する体質になっている。 それが原因で共通ルートで一度主人公を拒絶するが狭間の世界でトラウマを克服。 だが主人公は一度拒絶されたショックを引きずっていてなつみに手を出すのを躊躇う…という流れ。 エンディングでは主人公はカメラマン、なつみは文系の大学に通いつつ脱サラした父親の喫茶店でウエイトレス。

カヤノ
 ネノクニにある小さな村の巫女。 「夢を紡ぐ力」があり『IZUMO2』のサクヤとも面識があるらしいが、あまり意味のある設定とは思えない。 狭間の異変を察知して主人公に夢の中で警告するが滑舌が悪くて最後まで言えないボケ担当キャラ。 このキャラだけ狭間の世界が無いので個別ルートに入るまで凄く影が薄いのが不憫ではあります。
 獲物は弓で攻撃ミスの頻度がちょっと高め。 カヤノ自身は木属性なのに後半に覚える技は火や雷属性だったりするので技でコンボを繋ぐときにカヤノだけ与えるダメージが少ない。
 カヤノの先祖は織姫と牽牛との間に生まれたタナバタツメで代々「夢を紡ぐ力」を受け継いでいるがその能力の代償として非常に短命。 エンディングでは織姫の生まれ変わりである舞菜と魂を融合させて主人公と共に暮らす流れ。 たぶんこのゲームのTrueエンドに相当するのでしょうね。

宮村 栞
 主人公とはクラスメイトのメガネキャラ。 主人公に対して好意を抱いているが引っ込み思案な性格で行動には出ていない。 眼鏡・おさげ・図書委員・根暗というエロゲのヒロインとしては不憫な設定ですが脱いだら凄いんです。 個別ルートのプールイベントでのCGは色々とヤバかった。
 獲物は本。 百科辞典とかを敵に投げつけてダメージを与えます。 残念ながらコミケカタログは装備品に登場しません。 物理攻撃で与えるダメージは微々たるものですが法術役としてはそこそこ使えます。 速さが低いので宝玉でのドーピング必須。
 舞菜に「ヒクツだね」と言われるだけあってイジメをしていたクラスメイトを蜘蛛の糸を使って次々に排除、しまいには主人公と仲の良いなつみにも危害を加えて自身は狭間の世界に引き篭もり。 なんなんですかねこの人は。 エロシーンもお預けを喰らわしたりとか良いとこが殆ど無いじゃん。 図書室ステージで本を掻き集めるのはパズル要素があって楽しめたけど。 エンディングでは栞が小説家、主人公はアシスタントに。

吾妻 鈴鹿
 主人公のクラスメイトであり幼馴染であり立場的には叔母でもあり学生会の副会長でもあり剣道部でもある。 幼い頃から一途に主人公を想っていて序盤は主人公と仲の良いなつみを敵視している…ってなんかなつみ不憫だな。 吾妻家の相続問題に巻き込まれて幸伸と結婚させられそうになっている。
 獲物は日本刀。 攻撃力が高い上に技もなかなか使える…というか白兎戦では鈴鹿の逆鱗陣が必須ですな。 なお修正パッチを当てないと鈴鹿の最強防具が取れないので注意。
 立場的には主人公の叔母だが吾妻家とは血縁関係の無い養子であることが発覚して一族から激しく批難されてしまい狭間に引き篭もる。 また実の父親からは虐待されていて今なお傷跡が残っていることから個別ルートでは暗闇での初H後、傷跡を知られるのを恐れた鈴鹿が主人公を避けるようになる。 エンディングでは鈴鹿がフランスでデザイナー、主人公がモデルとして成功する展開。

笹山 芙由子
 数学教師。 いわゆる堅物な性格で主人公の素行を気にしている。 料理が苦手だが海外の有名IT企業からスカウトされるほどの才媛。
 獲物は鞭。 後衛キャラとしては物理攻撃力もそこそこ高く、霊力もそれなりにあるので使い勝手は良いですね。 霊力が高いと技の乱発もし易いので雑魚掃討役として割と活躍してくれました。
 個別イベントでは進路指導の際にテンプレート通りの面談であることを幸伸に指摘され、物事を全て論理的に処理する自分と教師という立場に苦悩する流れ。 エンディングでは芙由子が妊娠し主人公は教師に。


お気に入り順は
 鈴鹿 > なつみ > カヤノ > 芙由子 >>> 栞


私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆

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