Rascal・改 − Game Impression
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遺作
発売日:1997.05.30 / elf

◇ あらすじ

 桜蘭学園に通う高校3年の主人公は最後の夏休みを満喫していた。 そんなある日、主人公の元へ1通の手紙が送られてくる。 内容は「あなたが好きです。登校日の17時に旧校舎5階の音楽室で待ってます」というもので、主人公は憧れの琴未かも…という淡い期待を抱き、当日に旧校舎に赴く。 そしてそこに確かに琴未は現れたが彼女の他にも6人の人間が主人公と同じように手紙によって呼び出されていたのだった。
 しかも4階に降りる扉は鍵が掛けられ、主人公達は旧校舎の中に閉じ込められている事に気付く。 一体誰が手紙を出し皆を閉じ込めたのだろうか? そして何とか脱出を試みようとする主人公達の前に見え隠れする用務員「遺作」の影。 果して彼らは無事に旧校舎から脱出する事が出来るのだろうか。


◇ ゲーム概要

 ゲームはマルチエンドの推理物ADV。 旧校舎内を色々と歩き回り、アイテムを見つけたりトリックを見破りながら全員を無事に旧校舎から脱出させるというものになってます。 途中、主人公の行動内容によっては他キャラが遺作に拉致されてしまい、そうなると例え無事に脱出できたとしてもハッピーエンドになりません。
 エンディングの数はハッピーエンド2種類。バッドエンド3種類の計5種類が存在します。


◇ システム

 インストールはコンパクトの場合は25MB、標準で90MBの他にカスタム設定が選択出来ます。 画面モードは640×480の窓とフルスクリーンの2通りですが、フルスクリーンでも画面下にタスクバーが表示されてたりして、ちょっと変な感じ。

 セーブはゲーム中に右クリックしたときに「セーブする」のコマンドが出てくれば保存でき、最大8ヶ所まで登録可能です。 ロードに関しても同様。 後はCTRLキーによるメッセージスキップや音声切り替えも有り、快適にプレー出来ると思います。

 それとハッピーエンド後に鑑賞モードが追加され、ゲーム中に見つけたビデオテープの再生やその他のCGを見る事ができます。


◇ グラフィック

 キャラクターデザイン・原画は「横田 守」さん。 個人的にこの方の描くキャラは好きですし、256色とは思えないほど奇麗なCGと合わせて満足しました。
 一応、ほとんどのCGで目パチアニメが入ってますし、陵辱シーンでも遺作の手とか一部アニメ処理があったりして凝ってます。


◇ サウンド

 PCM再生(だと思う)で曲数は不明。ボリュームが低い上に今ひとつ音質も良くなかったので何となく味気ない曲に聴こえました。 ゲームを終えた時に「そういえば鳴ってたな…」と感じるレベル。

 ただ、このゲームに関して言えばBGMよりも効果音(扉の軋む音とか鍵を開けたときの音)が雰囲気をより出していたと思います。 それと声優さんの演技もかなり良かった。 一応フルボイスで喋ってくれますし、キャラと声にここまで違和感を感じないゲームも珍しいです。 もちろん我らが遺作さんも良い感じです(笑)。


◇ 感想まとめ

 このゲームは遺作の仕掛けた様々なトラップを突破して旧校舎から脱出することが目的になっています。 校舎中の窓と扉には全て板が打ち付けてある閉鎖空間な上、真夏の夜の蒸し暑さもCGやキャラの言動から伝わってきて追い詰められてる雰囲気も非常に良く出ていました。

 主人公に好意を持ってるのはメインヒロインの2人だけですけど、この二人が時折見せる主人公への好意はなかなか居心地が良くって割と萌え度も高めに感じました。

 ただ、このゲームのエロシーンは各ヒロイン達が遺作に捕まったときに発生する陵辱シーンがほとんどなのです。 はっきり言うとハッピーエンドを見るためにはゲーム中に一度もエロシーンを見てはいけない…という、エロゲーとしては珍しい展開なのも特徴と言えます。

 先にも書いたようにメインの二人は割と魅力的なキャラ立てをしてるので、その陵辱シーンを見せられるのはかなりキツかった。 好意を抱いている主人公に見られたくないという思いと、心底嫌悪している遺作にいいように陵辱されるという屈辱が良く伝わってきて、鬼畜描写としてはかなり秀逸。
 最初にこのゲームをプレーした時はまだ鬼畜な展開に慣れておらず「うげ…こんなゲームやってられるかー」って感じだったのですが、その後色々なゲームを経験し、鬼畜な展開にも耐性が出来てきた頃に再度挑戦したところ…思いのほか楽しめました(笑)。
 特に陵辱シーンを収めたビデオテープを補完する為、わざとヒロインを遺作の生け贄に捧げるあたり、私もスレたものだと感じずにはいられません(笑)。 もう以前の純真無垢な自分には戻れないのね〜(泣)

 ……まぁつまりですね、鬼畜な展開にさえ耐える事が出来ればゲームとしては素晴らしいものがあると言いたかったのです。 何よりゲーム性が皆無のADVが多い昨今、アイテムを駆使して自分で考え、トリックを見破っていく快感は久しく忘れていました。 昔はそんなゲーム多かったんですけどね。
 シナリオの方は特に大どんでん返しがある訳では無いので、やっぱり「考えて解く」というのがこのゲームの醍醐味でしょう。 という訳でこのゲームに関してはなるべく攻略に頼らず、出来るだけ自力攻略する事をお薦めします。


私的満足度: ★★★★★ ★★★☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO