Rascal・改 − Game Impression
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この世の果てで恋を唄う少女 YU-NO
発売日:1996.12.26 / elf

◇ あらすじ

 考古学者を父に持つ「有馬たくや」は境町学園に通う高校生。 彼の父「広大」は数ヶ月前に突然行方不明になり、遺体は見つからないが死亡とされていた。 その為、現在は義理の母親である「亜由美」と2人暮らしだったが、ある日突然たくやの元へ死んだ筈の父から小包が送られてくる。 中にはリフレクターと呼ばれる物と奇麗な宝玉が2つあり、同封された手紙には「宝玉を8つ持って三角山へこい」と記してあった。
 宝玉の数が足りない事を気にしつつ三角山へ向かった主人公が出会ったのは全裸で倒れている金髪の女性だった。 そしてそれからまもなく主人公は並列世界の存在を知る事になる…。


◇ ゲーム概要

 ゲームはアイテムやコマンド選択によって進行するADVなのですが、A.D.M.Sというゲームシステムがシナリオの分岐や並列世界の存在を解り易くしています。 A.D.M.Sとは「Auto Diverge Mapping System」の略(らしい)で、それまで進んできた分岐がツリー状に表示され、今現在どの位置に居るかの確認が容易にできるようになっています。 また各並列世界には、その地点でないと取得出来ないアイテムなどがあり、別の並列世界でそれらのアイテムを使用しないと先に進めない個所が複雑に絡み合ってゲーム性を高めてます。 そして最終的に「宝玉」と呼ばれる物を8個揃えた時、意外な展開が待っている事でしょう(笑)。


◇ システム

 「見る」「話す」等は全て画面上をマウスでクリックする事によって行います。 例えば「話す」場合は対象人物の口の位置にマウスを移動させてクリックといった感じですね。 アイテムも使用したいアイテムを画面上にドラッグする事によって使用できますし、CTRLキーによるメッセージスキップ等もあって操作性は悪くはないです。 ただ、セーブは常に1個所にしか保存できません。

 おまけはエンディング後に「おまけエンド」が3つ追加される他、ある条件を満たすと音楽モードが出現します。 また、スペシャルディスクを申し込んでインストールする事で「CGモード」「CGギャラリー」「ピクロスクイズ」「ヒント」とおまけシナリオの「それいけ、セーレス!」が追加されます。 下級生の時と違いこちらはちょっとお特な感じですね(もっともおまけシナリオはSS版でそのまま入ってますけど)。
 余談ですが初回版だとYU-NOのアレンジ音楽CD(2枚組)を申し込む事が出来ます。 もちろん現在では入手不可能ですけど、アレンジ自体は今ひとつ…と言った印象でしたので、某所で5桁の金額で落札するようなものでは無いと(個人的には)思いますよ(苦笑)。


◇ グラフィック

 原画は「長岡 康史」さん。 キャラクターデザイン自体は特に合わないという事も無いのですが、立ち絵とイベントCGとで違う顔に見えてしまうのが気になりました。 特に「香織」。
 CGそのものは目パチアニメがあったり16色とは思えない出来で流石といったところ。 枚数も結構ありました。


◇ サウンド

 86互換のFM音源です。 そういえばエルフで86音源に対応した最初で最後のゲームですね(笑)。 作曲はシーズの『EVE』なども担当された「島田 竜」さん(『EVE』の時は梅本 竜さん)で雰囲気もどことなく『EVE』に似ています。
 曲数は計100曲という驚愕の多さ。 当然お気に入りの曲もたくさんあるのですが、「絆」「愛情」「ユーノ」「悲哀」「危機」「澪」「オープニング」といった辺りがお気に入りです。


◇ 感想まとめ

 エルフが出した剣乃(菅野)ゆきひろ氏の最初で最後のゲームになりますね。 ちなみに私がプレイした最初の剣乃作品でもあります。
 練り込まれたシナリオ展開やA.D.M.Sというコロンブスの卵的なシステムは素晴らしいものがあると思いますし、アイテムや宝玉が散らばってる場所も絶妙で、程よい難易度となっていて楽しめました。

 ただ、一部でマウスの判定が非常にシビアな場面があったり1プレイ時間が異様に長く(早くて20時間くらい)かかったり、 宝玉を8個集めた後の展開があまりにも前半とかけ離れてしまった等の不満点がありました。
 まぁ最後のに関しては、前半あれだけ並列世界を行ったり来たりしてたので、あそこもその並列世界の1つと言われてある程度納得出来たってのはありますけど、「神奈」や「澪」といった辺りが忘れられてるようでちょっと悲しかったです。
 それとエロシーンにもあまり必然性を感じませんでした。 それどころか…近○相○まであったりして実際かなりビビリましたわ。

 ま、色々と細かい不満点はありますが、個人的には名作級のゲームである事は間違いないこところで、大満足したタイトルでした。


私的満足度: ★★★★★ ★★★★☆

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