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BALDR FORCE EXE
発売日:2003.01.24 / 戯画
 現在サバイバルモードをプレイ中ですがエンディングは全て制覇したのでとりあえず感想執筆。 所要時間は1stプレイ4時間、コンプまでは25時間ほど。

 ネット空間が仮想現実世界として確立された近未来。 人々は脳内チップと神経挿入端子(ニューロジャック)を介してネット空間にアクセスするようになっていた。 主人公「相馬透」はそんなネット世界では名の知れたハッキングチーム「草原の狼(ステッペンウルフ)」の一員として活動していたが、軍の構造体へのハッキング中に軍とテロ組織との抗争に巻き込まれ親友を失ってしまう。 復讐を誓った主人公は仇を探すため、軍に入隊することになる…というあらすじ。


 「シュミクラム」と呼ばれるネット世界固有の人型兵器で戦うSFアクションADV。 ヒロインは6人ですがクリア順規制あり。 後で攻略可能になるヒロインほど設定により深く関わってくる物語構成となり、ACTパートの難易度も上がっていきます。 何度かクリアすることでフローチャートが表示されるようになるのでルート分岐に関して悩む事は無いかと。 物語は章立てになっていますが2章以降はルートによって全く異なる展開となり、最も長いルートでは13章までありました。


 この世界では脳とネット空間とを神経挿入端子を介して繋いでいるため、ネット内の電子体がダメージを受けると実体の神経にも影響して最悪の場合は死に至る…という映画「マトリックス」のような設定が前提にあります。
 そしてそんなリアル世界やネット空間では治安維持部隊(FLAK)、傭兵部隊(VSS)、飛刀(フェタオ)という脳内チップ制度に反対するテロリスト集団など様々な勢力が存在し、主人公の立ち位置によっては味方となったり、逆に敵側の勢力として立ちはだかったりと物語に大きく関わってきます。 つまりルートによってはFLAKに所属する事もあれば別ルートでは逆にテロ屋の一員としてFLAKの人間と戦う展開もあり、展開の幅広さと共にプレイヤーからすればグローバルな視点で各勢力・各キャラの目的や動向を理解していけるのが非常に良い感じ。 ザッピングではなく、実際に主人公がその勢力側へ与して描かれていくので感情移入し易かったという点も大きいです。
 ルート規制も良い方向に向いていたと思います。 新たなルートに入った時には今まで明かされた設定を踏まえた上で、更に次々と明かされていく新事実がなんともプレイ意欲を掻き立ててくれるのです。 欲を言えば伏線の張り方をもう少し工夫して欲しかった気もしますが、この“何となく先の予測が付く伏線”も早く物語を進めて確認したいというモチベーションに繋がったので一概にマイナスとは言えません。


 シュミクラムによる戦闘は複雑なキー操作は必要無く、使用する武器を予め選んでおいて後は使用可能な状況下でボタンを押下すればOKというシンプルなもの。 武器の開発などもオフシャルサイトに表が公開されていて有難い。 ちなみにシールドを早めに開発すると後が楽になると思います。
 戦闘の発生頻度はかなり多いですが、大体3ルート目終盤までは練習モードって感じの難易度ですし、それまでに操作のコツも掴めるので「戦闘で勝利できず先に進めない」という状況に陥る事はほとんどありませんでした。

 それに強敵との戦闘に入る際は、その強敵との会話イベント等でプレイヤーを盛り上げる演出がされていて激しく燃えるのですよ。 この時の演出も実に見事で、静かなBGMに合わせてオートで会話が進行していき、曲調が激しく変化すると同時に戦闘開始(オープンコンバット)となる流れはもう鳥肌モノ。 会話の流れ的に「ここで負けたら男じゃねぇ!」とか感じられてアドレナリン出っぱなし。 遠距離からホーミングミサイルぶっ放してれば楽に勝てそうな戦闘でも「てめえはこの拳でぶっ飛ばす!」とか妙に主人公に感情移入し過ぎたせいで接近格闘戦をやってしまい、思わぬ苦戦を強いられる事も多々ありました。 我ながら阿呆ですな。 でもそんなギリギリの攻防の末に勝利した時の達成感や、コンポとかフォースクラッシュが狙い通りに決まった時の爽快感はテキストオンリーのADVでは絶対に味わえないものなので凄く充実してました。 もちろんADVにも別の良さはあるけど、こと達成感に関しては比較になりません。


 演出面では先に書いた戦闘前の盛り上げ方の他にも没入シーンとか入室(ログイン)、離脱(ログアウト)と言った無機質な音声なども細かい演出としてなかなか凝っていたと思います。


 登場キャラは一部を除いて皆かっこいいですね。 ヒロイン達も魅力的に描かれてはいますが、このゲームはそれ以上に男キャラが非常に良い味出しています。 特にゲンハ…お前のそのキチ○イっぷりは素晴らしい。 ゲンハ役の声優さんも実に良くこの個性的なキャラを演じきっていたと思います。 あとは八木沢隊長も渋くて好きだ(笑)。
 主人公は月菜ルートあたりでちょっとヘタレるけど、そのヘタレを補って余りある“熱さ”が随所にあり個人的にはお気に入り。


 エロシーンは個別ルート毎にヒロイン一人当たり2回前後発生。 更に個別エンド後に入手できる各ヒロイン毎の「貞操」やアイテムを持った状態で再度プレイすると初回ルートとはまた違ったシーンが発生します。 ちなみにヒロインの処女率は100%でした。
 主人公とヒロインとの通常の絡みは描写も尺もそれなり…と言ったところでしたが、「貞操」やアイテムを持った状態でのエロシーンは妙に浮いている印象を受けました。 特にバイブなどのアイテム使用時における主人公の暴走ぶりはエロ云々よりも普段とのギャップの激しさからギャグに感じられたほどです。
 それと、何人かのヒロインはルートによって強姦シーンもありました。 まぁ強姦された後の使用後としての状態だけしか描写されない場合もありましたが、某ルートでは没入中に本体が強姦されてそのまま殺されるようなキツイ展開もあり。 犯ったのはもちろん我らがゲンハ様ですので鬼畜系が苦手な方は注意が必要かと。


 総評としてはACTパートの操作性やゲームバランスや爽快感、そしてシナリオや演出も非常に高い水準にある名作でした。 更に2002年初頭あたりからずっとエロゲから離れた生活を送っていた私を再びエロゲの世界に引き戻してくれやがったタイトルでもあります。 そんな思い入れも加味して満足度はMAXとなっています。


以下、ヒロイン別の雑感(ネタバレあり)。


瀬川 みのり
 FLAKのサポート係。主人公に一目惚れしたようで、何かと構ってくるが本人のルート以外では別ヒロインの当て馬っぽくなる事が多くてちょっと不憫。 まぁ個人的にも眼鏡っ娘ということで属性から外れているため割とどうでもいい。 元々は教職を目指していたが教育実習中にDOSアタック(とされてる)事件で教え子を救えなかった事がきっかけとなり軍に入隊。 事件の経緯は別ルートで詳細が判明する。
 個別ルートでは復讐のため軍隊に入った主人公が、みのりと接する事で復讐の空しさを理解していく流れ。 バッドルートではテロリストに味方した主人公の前に優哉の仇が現れる展開。

紫藤 彩音
 FLAKで主人公と同じ小隊に所属。 弟をゲンハに殺されており復讐のためにFLAKに入隊。 ゲンハと交戦しやすくする為に軍の情報をフェタオへ送っている。 ほとんどのルートで一人でゲンハと交戦して敗北、場合によっては強姦もされる不幸なヒロイン。
 個別ルートでは彩音が主人公同様に復讐のため軍隊に入った事を知り復讐に協力する流れ。 彩音も同じ境遇の主人公に気を許すようになり、人間慣れしていない不器用な仕草がなかなか良い感じでした。 そして彩音の復讐達成後は優哉の仇が彩音である事が判明し3つのエンドに分岐。

笹桐 月菜
 主人公の幼なじみで孤児だった主人公を見受けしてくれた男の娘。 ステッペンウルフ解散後はVSSに入隊。 月菜ルート以外では洗脳された月菜とバトルになる事もあるが、それはプレイヤーには判るけど主人公は相手が月菜である事は知らない…という流れが何とも心憎い演出だなぁと感じました。
 個別ルートは月菜と共にVSSに入隊するも玲佳社長の方針や洗脳された他隊員達と折り合いが付かずに逃げ出す流れ。 このルートの主人公はヘタレ系だし月菜も洗脳されるしで物語的にストレスを感じましたがバトルで良い感じに発散できたのでまぁ良し。 また、このあたりから「実験体」やら「洗脳回路」やら世界観の核心に関わる部分が語られ始める。 ラストはVSS構造体へ進入し崩落、過去に彩音を見逃した場合はFLAKの救助が来てハッピーエンド。 でも月菜の脳内チップは破損してネット接続不可に…。 バッドルートでは主人公がワイアードゴースト化。

リャン
 テロリスト「フェタオ」のサポート。 脳内チップのバグで記憶力が低い。 彼女自身はシュミクラムを使わないが、2006年11月に出たOVAでは思いっきり戦闘に参加してるし、しかも戦闘狂っぽい性格になっていてキレそうになりましたよ…あんなのリャンじゃねぇ。
 個別ルートは戦闘でアキラを見逃した事で拘束され、それをリャンとアキラが助けに来た事がきっかけでフェタオの客人扱いとなる流れ。 その後チップ工場襲撃時にリャンが捕虜となり救出に向かうが、アキラは洗脳されそうになって自害、FLAKのメンバーはゲンハの襲撃でヨースケとカイラが戦死となかなかに重い展開でちょっと凹んだ。 終盤ではアジトが襲撃されてクーウォンは自爆。 主人公は八木沢隊長とバトルになり、勝てばハッピーエンド。 負ければリャンはVSSに入隊後に洗脳されて主人公を忘れる展開。

朝倉 ひかる
 ネット内ではバチェラとして主人公と以前から知り合い。 過去にDOSテロの容疑者としてFLAKに追われていて現在はスラム街で一人暮らしをしている少女。 燐ルートでの無敵っぷりを見ると最強なんじゃね?とか感じますな。
 個別ルートは軍にウイルスをばらまて彩音と八木沢隊長が負傷した事で軍の追跡装置を使ってアジトを発見、以後は主人公が保護する流れ。 ゲンハとの左脳/右脳両帝王バトルとかラストのリバイアサン覚醒とか色々と見せ場が多いルートでした。 バッドルートではゲンハに凌辱後に殺されるというキツい展開もあり。

水坂 燐
 ネット空間を徘徊しているワイアードゴースト。 純真な性格をした主人公の義妹だがラスボスのリバイアサンでもある。 ちんまいキャラはペタ胸…というのが何となく定着してる感じですけど、このキャラはオッパイもそれなりのボリュームなのがなんか新鮮でした。
 個別ルートは正に今までの総決算という感じですね。 実験施設にリャンとバチェラの三人で乗り込んでいく流れとか結構好き。 リバイアサンに取り込まれた後、脱出時にフラグによってエンドが3種類に変化。 ラスボス戦はかなりキツかったですが、燐がお気に入りな私としてはあの技で一発昇天されても本望でした。
オニイチャン、キテ! ●・.∵:・ギュオォォォオ  (←あの技)


お気に入り順は
 燐 > リャン > ひかる > 彩音 > 月菜 > みのり


私的満足度: ★★★★★ ★★★★★

Copyright(c) 2007 SHEO