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パルフェ 〜シュコラ Second Brew〜
発売日:2005.03.25 / 戯画
 全CGを埋めてコンプ。プレイ時間は1周4〜5時間、コンプまでは14時間くらい。 購入動機はもちろん前作が気に入ってたから。

 主人公の姉が経営していた欧州アンティーク風喫茶「ファミーユ」が火災で焼失してから半年、主人公の元に1本の電話が入る。 それは数ヶ月後にオープンする大型ショッピングモール「ブリックモール」へのファミーユ出店の誘いだった。 主人公は再びファミーユを復興させるため姉であり店長でもあった恵麻の説得を試みるも失敗。 しかし諦めきれない主人公は何とか最低限のスタッフを集め開店直前まで漕ぎ着ける。 だがファミーユが借りたスペースの向かいは同じ欧州アンティーク風喫茶として名を馳せる「キュリオ」が入っていたのだった…というあらすじの恋愛ADV。


 ヒロインは6人でそれぞれにノーマルエンドとトゥルーエンドが存在します。 ゲーム期間は10月上旬からクリスマスまでが共通ルート。それ以降はヒロインによって異なるという構成。 ただヒロイン6人中4人は対になってるヒロインが居るため共通ルートでお目当てのキャラばかり追いかけていてもトゥルーエンドは見れませんので注意。

 前作の『ショコラ』は共通ルート・個別ルート共に店長としての仕事を消化させたり、何のイベントも発生しない日が暫く続いたりとゲーム構成がシナリオのスムーズ進行を少なからず妨げていましたけど、今回はそういう煩わしさは改善されています。 共通ルートでは見たいイベントを毎回選んでいくのは変わりませんが必ず何らかのイベントは発生しますし、一度見たイベントは次回からその内容説明やシナリオ上の重要度まで表示してくれる親切設計には脱帽もの。 個別ルートに入ると完全に読み物となるのも物語に集中できて良い感じです。

 システムまわりもかなり快適になっていて、必要な機能が一通り揃っているのはもちろん、マウスカーソルを右端に移動させるとセーブロード用の領域がスライドバーで表示されるのが個人的に使いやすくて良かったと思います。

 で、ゲームを開始するとまずプロローグが始まる訳ですが、ここでの掴みが相変わらずお見事。 やってることは主人公の置かれてる状況説明やヒロイン達の紹介なのですけど、そのヒロイン達のキャラ立てが良く、主人公との会話からお互いの力関係…(基本的に主人公はいぢられ役ですけど)…やヒロイン側の主人公に対する想いなどがよく表せていると思います。 また雰囲気的な演出も見事でプレイしていて非常に居心地が良かったのも前作同様に好印象。
 あえて難を言えば表のヒロインである由飛が初期印象ではオツムの弱い電波さんにしか見えないので、こういうキャラにするなら前作の美里のように主人公をもう少し振り回して「放っておけない」という気になるところまで描いて欲しかったかなぁと。

 物語は不慣れな店長業務に悪戦苦闘する主人公を各ヒロイン達がそれぞれの立場から支え、また主人公もヒロインの悩みに対して力になれることを行っていくことで互いに惹かれ合っていく…という流れ。 まぁ半分くらいのヒロインは主人公に対する初期の好感度が高めなので、主人公をいぢったり一杯かまって貰ってるうちに想いを抑え切れなくなった…という印象の方が強いですけど、他のヒロイン達や主人公もまたお互いに惹かれていく描写は(個人的には)十分な説得力があって良かったと思います。

 この主人公はかなり特殊な家庭環境に置かれていて家族愛に対する渇望が強く、自身も家族優先主義である反面、恋愛事に関しては人一倍臆病という設定で、これがどのヒロインのシナリオでも上手く関わってると思いました。 時にはヒロインを意識するきっかけになったり、またあるときはすれ違いの原因となったりするんですけど、しっかりとした設定と行動理念に基づいてのことなので不自然さは感じませんでした。

 それとこれはライターさんの特徴の一つでもあるのですが、伏線の張り方と明かし方がホント素晴らしいです。 前作もそうでしたけど序盤や別ヒロインルートでの何気ない会話が実はかなり重要な意味を持つ場合があり、その伏線を「ここぞ」というシーンでしっかりと使ってくるあたりは流石ですねぇ。 シナリオの演出としてはもちろん、ヒロインの魅力(萌え度)にも大きく貢献してるんじゃないかと。

 ヒロインの魅力という点では何人かのヒロインは対になってる因縁浅からぬキャラがいて、ちょっとした修羅場描写などが割と盛り上がるのも個人的に高ポイントだったりします(笑)。

 ただ、ヒロインとの恋愛面に比べて喫茶店経営面の山場とか演出はちょっと弱いかなぁと感じます。 ライバル店のキュリオは潰しあう関係ではなく互いに切磋琢磨して成長させていく流れなのはこのゲームの雰囲気に合ってると思うし、前作のファンとしても嬉しいのですけど、主人公が自分で苦しんで成長する…という描写が少なく感じ、店が軌道に乗ってもプレイヤーとしては特に感慨が沸かないのがちょっと勿体無いというか…。

 エロシーンは一人あたり3回発生。 どれも導入シーンから丁寧に描かれているし何よりヒロインのセリフがツボを突いてくるので気分的に盛り上がります。 もうね、惚れた弱みって感じで主人公の要求に健気に応えるんですけど、その仕草やセリフが萌えるのですわ(笑)。 つか主人公、普段は色々と弱いのにエロシーンでは主導権握りまくりです。 「上半身と下半身、切り離しても生きてるよねきっと。どう考えても別人だもん」とは某ヒロインのセリフですが言い得てると思った。
 メイド喫茶という設定を活かしたコスチュームでのシーンも各キャラにあり、シーン自体の尺もそれなりにあって恋愛ゲーのエロシーンとしてはかなり頑張ってる印象。 中には1回のシーンでパイズリ→69→後背位→アナル→正常位と続くものもあってちょっと驚きました(笑)。



最後にキャラ別の雑感も軽く書いておきます。


風見由飛
 個人的にはちょっと引いたキャラ。いや、だって注文時に歌いだされたら普通引くって。 シナリオ的にはいくつか強引さを感じましたが、内容やラストの演出などは良かった。

花鳥玲愛
 ツンデレ系キャラですね。 結構早い段階で主人公の事を意識してるようで素直になれない仕草はなかなか。 でもやっぱり個別ルートに入ってからの普段の気の強さと告白やエロシーンのデレっぷりとのギャップが良い感じです。 特に2回目エロシーン後の蹴りは笑った。 シナリオ的には由飛と結構被るけど、他ヒロインやキュリオのサブキャラ達が絡んでくるのが良いですね。 ラストのキュリオ本店でのやり取りなどを見てもかなり優遇されてるキャラという印象。

雪乃明日香
 癖者揃いのヒロイン達の中で唯一のマトモなキャラ(笑)。 下から覗き込むような仕草が個人的にかなりツボで割とお気に入りキャラなのですけど、シナリオ的には一番味気ない気がする。 サブキャラの同級生も割と良い感じだったので文化祭イベントはもうちょっと描いて欲しかったところです。 あと…風呂場ではリボン解いてくれ…。

涼波かすみ
 主人公をいぢくる一連のやりとりはかなり好み。 シナリオ的にはあの愉快な親父さんをもっと絡ませて欲しかった…。 終盤の山場あたりで出てくるかと思ったんですけどねぇ。 あと某シーンでの『V.G. NEO』の音楽と演出を使ったお遊びはナイスでした。 マジで茶吹いた。

杉沢恵麻
 主人公の設定の根源。 このキャラの主人公に対する思い入れは凄まじいものがありますなー。 他ヒロインとくっ付いたときの反応は面白いけど、恵麻ルートは主人公のシスコンっぷりも手伝ってちょっと引いた。 ○○ということにもかなり驚かされたし(笑)。

夏海里伽子
 裏のヒロインで前作での香奈子さん的なキャラ。 もう駄目、完全にKO負け。 ここまで直球も変化球も強烈なキャラはそれこそ前作の香奈子さん以来。 エンディングでは一時的に花粉症になりました。

 続編物…特に前作が評判の良いゲームの続編は比較対象が高いため、なかなか前作以上の満足度は得られないものですが、今回は萌えエロゲーとして私が期待していた以上の満足感を得ることができました。


私的満足度: ★★★★★ ★★★★☆

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