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angel breath
発売日:2006.02.24 / 戯画
 全CGを埋めてコンプ。所要時間は1stプレイ4〜5時間、コンプまでは12時間前後でした。

 かつて異世界(アヴァター)からの訪問者によってもたらされた魔法が浸透する世界。 だが全ての人間が魔法を扱える訳ではなく、魔法の使えない者はニードレスと呼ばれ差別されていた。 主人公「七代 祟」も魔法が使えないニードレスであるが、訳あって魔法看護士科に通っていた。 そんな主人公の前にある日突然魔法陣が出現し、中から女の子が現れた。 時を置かずに更にもう一人女の子が現れ、暫く主人公と共に学園生活を送ることになる…というあらすじ。


 『Duel Savior』(以下DS)の世界観を継承した学園ADV。 舞台はアヴァターでは無く日本ですが、魔法が当たり前に浸透している異世界の日本という設定。 まぁこのあたりの練り込みは弱く、かなりテキトーという印象を受けたので深く考察しない方が吉(笑)。
 ヒロインは計5人。 そのうちの二人はアヴァターでの救世主候補生と破滅の幹部という設定で、ゲーム開始時にはそのアヴァターでの一部始終が語られるのでDSをプレイしてれば理解し易いと思います。 DSプレイ必須という程ではありませんが、ルビナスやロベリアと言ったDSキャラの名前も出てくるし、多次元世界や召還器など世界観の理解度も違ってくると思うのでプレイしておくに越したことはないでしょう。

 ゲーム構成としては基本的に場所移動時にお目当てのヒロインを追いかけて行けば良いのですが、メインヒロインのクリミアなど一部のキャラは他ヒロイン設定などが割りと絡んでくるので他のイベントをある程度進行させないと話が進展しないようになってました。 とは言え、特に進行上のトラップなどは無いので難易度は低いと思います。


 雰囲気は基本的に学園ラブコメのノリ。 アヴァターから二人のヒロインが訪れた際に寮が半壊してしまった為、何故か主人公とヒロイン達だけ学園内の某施設で共同生活をさせられる…という、かなり強引な同居物になります(笑)。 もちろん発生するイベントは同居生活ならではのお約束ハプニングが多数で、中には「お床の中の男」などDSプレイ済みの人にはニヤリとできる会話などもあったりするのですが…全体的にテキスト描写が淡々としていてどうにも盛り上がりに欠ける印象を受けました。

 イベント間の繋がりもチグハグ。 見ていないイベントなのに見たことにされて話が進む不整合さもありますが、ヒロイン毎のイベントの関連性が薄いのも気になりました。 例えばあるヒロインと気まずくなってるはずなのに、別キャラのイベントでは仲良く会話している…と言った感じで、色々と粗が目立ったのが残念なところ。

 中盤以降は個別ルートに入る訳ですけど、ヒロイン毎にシナリオのボリューム、設定の活かされ方、主人公の言動などにかなりバラツキがありますね。
 シナリオに関してはクリミアだけが突出している感じ。 全ての謎が明かされるTrueルート的な展開なのですが、何故か盛り上がりに欠ける印象を受けました。 でもクリミアルートを踏まえた上でのつばさ・ガブリエルの設定は悪くは無いんじゃないかと。 かなり強引さは感じましたけどね。 ただ委員長の設定だけは妙に浮いていましたね。 内容的にもかなり不快感を感じたので、ぶっちゃけ委員長ルートは要らなかったです。
 そして主人公ですが…基本的にはハイテンション馬鹿です(笑)。 アヴァター組のクリミアや寧々子ルートでは馬鹿だけど馬鹿なりに頑張っていて割りと好感触。 ところが他の3人のルートでは感情が先行するガキっぽさが目立ち、かなりのDQNという印象を受けました。 細かいところでも色々と主人公の言動に統一感が無くプレイしていて違和感を感じまくりでした。


 エロシーンは1人あたり1回。 最近の複数回エロが当たり前になりつつある中では少々珍しいかも。 一応2回戦に突入させたりして尺を補ってはいますが…テキスト描写は淡白だし、何よりCG的にあまりエロさを感じることができなかったので、もう少し頑張って欲しかったところです。


 システムまわりは安定。 右隅にマウスを移動させると簡易セーブ枠がでてくるとこは『パルフェ』と同じで悪くなかったですし、必要な機能は一通り揃ってたと思います。
 CGは若干少なく感じましたが、それ以上に戦闘シーンでの演出の味気なさが不満です。 立ち絵を動かすようなこともなく、テキストも淡々としていて盛り上がらないどころか状況すら今イチ把握できなかったですよ。 あとはCGの構図的にちょっと違和感を感じたものもいくつかありました。
 BGMは特に印象に残らず。ただ主題歌とOPムービーはなかなか良い感じでした。

 それと余談ですが、このゲームには特典として『エンジェルセイヴァー』というおまけゲームが付いてきます。 『angel breath』のキャラを使ったDSの戦闘アクションゲームなのですが…正直こちらの方が本編よりも面白い(苦笑)。 ショップ予約特典で『エンジェルセイヴァー プラス』というのもあり、こちらは仲間キャラ(NPC)を一人選べる上にDSキャラも登場します。 つか、クリミア使い易いし強いっすな。


 まとめとしては“各キャラの設定を踏まえた上でのクリミアルート”は悪く無い。 ただ全体的に描写が淡々としている事とイベント間の作りの粗さ、そして各キャラ毎の統一感の無いシナリオや主人公の言動など結構なマイナス要素があり、最終的な満足度は「凡作」と言ったところでした。


以下、キャラ毎の雑感(ネタバレあり)。


クリミア
 アヴァターでの救世主候補生で本名はソニア。 好奇心旺盛な元気っ娘で主人公に懐いている。 主人公のことを「懐かしい雰囲気がする」と言ってたので私はてっきり主人公の妹というオチを予想していたのですが…見事に外れましたね(苦笑)。 クリミアの性格とかは悪く無いけど、あの色気の無さはエロゲのヒロインとしては致命的。 髪をおろした状態だとそれなりに見栄えがするのでエロシーンはそっちバージョンにして欲しかった。
 召還器は大剣型のコスモスでDSの舞台から千年前の破滅との戦いに参加していた。 要するにルビナス、ミュリエル、ロベリア達の仲間。 DSでソニアの名前が出なかったのは今作の主人公が禁呪であるエンジェルブレスを使ったため存在自体が無かった事になったから。

白井 寧々子
 元破滅の将のワータイガーで本来クリミアとは敵同士。 戦いを好まずクリミアが記憶を失ってるのを見て自身も記憶喪失と偽って生活する。 気弱系の性格ということもありますがクリミアと比べてかなり影が薄い印象を受けますね。 せっかく恵まれた体型なのに勿体無い(ぉ
 個別シナリオは闘いを拒む寧々子の前に破滅の使い魔である邪妖精が現れて闘いを強制する流れ。 邪妖精との戦闘はかなりのご都合主義で白けました。

壱岐 つばさ
 主人公の幼なじみ。初期状態で既に好感度MAX。 幼い頃の約束、近すぎるが故に恋愛感情を自覚するまで時間がかかり、自覚してもそれを認めたがらない…という定番パターン。 つばさに告られたのに「俺の気持ちを受け入れてくれるのだろうか」とか悩みまくる主人公はかなりの馬鹿です。 挙げ句「お前を好きだってこと、勇気を出して言葉にして良かったよ」って先に告白したのはつばさだろが…。 なんか普段ハイテンションで行動派なくせに、ここぞという場面でヘタレられるとかなり萎えますな。

森里 知香
 主人公のクラスの委員長。 委員長は自身の夢に向かって努力 → 主人公は自分達とも仲良くして欲しい → 邪魔しないで…の悪循環な流れ。 人様が頑張って叶えようとしてる夢を掴まえて「どうせ大して人を幸せにしない夢のくせに」とかほざく主人公は度し難い馬鹿です。 加えてヒロイン側にも難ありで、主人公がちょっかい出すのを嫌がってるくせに預かってた手紙を渡した直後に破り捨てるような「構って光線」を頻繁に発して、構おうとする主人公とまた拗れる…というパターンばっかりで辟易しました。 とにかく主人公とヒロインの織り成すDQN連鎖が凄まじく、このルートでゲーム全体の評価が大きく下降しましたよ。

ガブリエル
 主人公の保護者によって製作されたホムンクルス。 五体が簡単にバラバラになるナナシみたいなキャラです(笑)。 ガブリエルが居ないと身の回りのことを何も出来ない事実を自覚してガブリエルのことが気になる流れ…ってそれは恋愛感情と違うだろ。
 ガブリエルの正体はクリミアの召還器コスモスだが、このルートでは明かされないという変な展開ですね。 クリミアより先にプレイするとかなりご都合主義な上に意味不明ですが、クリミアより後にプレイしてもかなり違和感を感じるシナリオだと思います。


お気に入りキャラ順は
 寧々子 > つばさ > ガブリエル > クリミア >>>>>>>>>>>>>>>>>> (超えられない壁) >>>>>>>>>>>>>>> (次元断層) >>>>>>>>>>>>>>> 知香


私的満足度: ★★★★★ ☆☆☆☆☆

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