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ぱすてるチャイム 〜恋のスキルアップ〜
発売日:1998.11.26 / ALICE SOFT

◇ あらすじ

 太古より濃霧に覆われていたルーベンス大陸の霧がある日突然消えた事で世の中は大冒険時代となり、各国は冒険者の育成に力を入れるようになる。 そしてとある王国が運営する「舞弦学園」の冒険科にも将来の冒険家を目指して沢山の若者が集まっていた。
 この春から3年生となった主人公「相羽カイト」もそんな若者の一人だが、彼は初めての実習であるダンジョン探索の最中、幼なじみの「ミューゼル」の前で失態をさらし彼女を危険な目にあわせてしまう。 己の非力さを痛感したカイトだが、卒業までの残り1年間で必ず冒険者になる事を誓うのだった。


◇ ゲーム概要

 このゲームは育成SLGとRPGをミックスした育成RPGとなっています。 ダンジョン探索によって、アイテムを発見したり敵を倒したりするのは従来のRPGと同タイプですが、レベルアップによって上昇するのはHPやMP等の最大値のみとなっていて、その他の能力値や技や魔法等は学校の授業を受ける事によって上昇、もしくは覚えたりします。

 ゲームの期間は1年間で、月曜〜木曜までが能力値アップの授業、金曜が技や魔法等のスキルアップの授業、土曜がダンジョンに潜って実習というように1週間単位で進行していきます。 登場するヒロインは4人+αで、主にダンジョンを一緒に探索する事で好感度が上がったりフラグが立ったりします。 同時攻略はたぶんできない…と思います。


◇ システム

 今回からSYSTEM3.6になりました(バージョン情報は3.5のままですが)。 ゲームとは関係ないですが起動時のアリスちゃんとハニーが踊ってるのがとってもよさげ。 その他は従来のSYSTEM3.5と目立った変化は無いです。

 セーブファイルは20ヶ所まで登録可能で、ゲーム中は金曜と土曜の学校移動の間のみセーブとロードができます。 操作性はキャンプ画面で若干の不満があるものの、メッセージスキップも快適ですし、移動もまずまずだと思います。
 それとこのゲームにはおまけで「アリスCD」なるものが付いてきます。 『学園KING』がまるごと入っていたりとサービス度が高いですね。 個人的には何と言ってもShadeさんのアレンジBGMがCD-DAで収録されているのが嬉し過ぎです。


◇ グラフィック

 原画は「かれん」さん。 CGは奇麗だし、キャラクターデザインも結構気に入っているのですが、ちょっと枚数が少ないのが残念でした。 CGモードは一度エンディングを迎えるとメニューに追加されます。


◇ サウンド

 基本的にCD-DA再生ですが、コンフィグで戦闘を高速化するとダンジョン内と戦闘シーンのBGM(計5曲)はMIDIになります。 曲の方はかなり気に入りました。それにShade氏の曲は1ループが結構長めなので聴いてて楽しいです。 お気に入りはコレットのテーマ(トラック7)を筆頭に、エンディング付近でかかるトラック10や最終ダンジョン手前でかかるトラック11なんかも良いですね。 ちなみに曲数は全17曲です。


◇ 感想まとめ

 なんか他のアリスゲームとちょっと毛色が違う正統派萌えゲーな雰囲気が漂っていますね。 ヒロイン達は確かに魅力的で萌える展開もありますが、アリス独特のアクの強さが無いっていうか…全体的にこざっぱりしている感じです。
 シナリオ担当のHIROさんはユーザークラブ会員用に無料配布されてる『恋のおわり』というノベルのシナリオも書かれており、先にこちらを拝見していた私はこの『ぱすチャ』でもやるせない気分にさせられる展開を覚悟&期待していただけに少々肩透かしを食らった感じでした(某兄妹の話もイマイチ説明不足でインパクト弱いし)。

 ゲームは基本的にダンジョン探索をひたすら繰り返すのがメインで、膨大なダンジョン探索に比べてイベントの絶対数が不足している印象を受けました。 各ヒロイン毎のシナリオ展開も先の展開が読めてしまうものが多く、ストーリー進行のテンポは正直言って悪いと思います。

 ダンジョン探索自体も戦闘は単調な作業となりがちで割とすぐに飽きます。 アリスでお馴染みの女の子モンスターやハニーも出てこないので、どうにも物足りなさを感じてしまいますし…。

 ヒロイン達はイベント数の少なさの割りにキャラ立ては結構良かったのではないでしょうかね。 それぞれの特徴や個性を良くプレイヤーに伝えられていたと思うし、会話テンポも悪くない。 私がこのゲームをフルコンプできたのも、ひとえにこのキャラ立ての良さ故でしたから…。
 欲を言えば休日のデートイベントの味気なさをもうちょっと何とかして欲しかったですし、幼なじみであるミュウと初恋の相手であるコレットとの微妙な心理描写をもっと描いて欲しかったかなぁとは思いましたけどね。

 まぁ不満点は結構ありますが、コツさえ掴めば敵の強さもバランスが上手く取れてますし、ランダムで作成されるダンジョンやコレクター心をくすぐる豊富なアイテム等、何度も遊べる作りは流石だとは思います。 ただやっぱりイベントをもう少し増やしてプレイ時間も短縮できるようだったら有り難かったかな…と言うのが正直なところです。


私的満足度: ★★★★★ ★☆☆☆☆

Copyright(c) 2007 SHEO