夢幻泡影 |
発売日:1995.07.07 / ALICE SOFT |
◇ あらすじ
若干27歳にして土屋財閥の主に君臨する「土屋 久遠」。
彼は孤児だった頃、当時の土屋財閥の会長である「和歌子」の気まぐれで養子となり、その英才教育を受けてきた為に今や日本を掌握する程の権力を持っていた。
そんな久遠がある日突然、原因不明の奇病に侵され、いつ死んでもおかしくないと診断されてしまう。
久遠はだらだらと医学に頼った生よりも死を選択することにした。これは、そこから始まる物語…。
◇ ゲーム概要
大正時代風味な雰囲気が漂ってますが、一応現代のお話です。
話としては「富も権力もある主人公がいかにして死を迎えるか」というかなり退廃的な内容です。
コマンド選択によって進行するマルチシナリオADVとなっていてエンディングの総数42種類とかなり多め。
全て見るのは大変そうですが、実は1度見たエンドは次回には到達出来ないよう選択肢が変化するので、残りの選択肢の組み合わせでエンディングの補完は容易です。
◇ システム
一応CD版だと98DOS用、FM-TOWNS用、Windows用のデータが入っています。私はWindows用のSystem3でプレイ。
メッセージスキップなどは無し。セーブは2ヶ所まで登録可能でゲーム中は「セーブ」のコマンドが表示されてる時に限りセーブ/ロードが出来ます。
マルチシナリオなのに2ヶ所というのは少ないと感じる方も居るでしょうけど、各シナリオの尺は短く、私はゲーム中にセーブする事は殆どありませんでした。
おまけのアリスの館ではスタッフコーナー、エロシーンのCG鑑賞、到達したエンディングの閲覧、音楽モードなどの他に、前回迎えたエンディングの解説も読めます。
◇ グラフィック
このゲームは98DOS版でも256色に対応しているようで、CGのクオリティは高め。
枚数が結構多いのも嬉しいですが、「YUKIMI」さんデザインのキャラクターも可愛くって良い感じです。
特に夕姫がお気に入り。
◇ サウンド
Window版は全てCD-DA再生になってます。
全体的に暗く重い感じの曲ばかりですが、まあこのゲームで軽快な曲がかかっても嫌ですし、雰囲気が出てて良いと思います。
ただ曲数が7曲と少ないのが残念でした。
◇ 感想まとめ
ゲーム自体は非常に簡単でサクサク進めるのですが、シナリオの方がかなりキます。
ドロドロした人間関係というか欲望というか…精神を内からザクザクと傷つけられるようなダメージを受けるシーンが多いのです。
特に妹「世羅」のシナリオは強烈で、油断していたのもあるのですが、エンディング後に暫らく呆然としちゃいました。
他にも穂澄や桂のバッドシナリオなんかもなかなかでダーク系描写が苦手だとちょっと厳しいかも。
まぁその反動で比較的おとなしいシナリオが展開する夕姫あたりは萌え転がれるのですけどね(笑)。
中には一発ギャグなシナリオ(?)もあって、この辺のギャップは凄まじかったです。
エロ度は割りと高めに感じました。実妹の世羅にも主人公とのエロシーンがあるので妹属性持ちの方は必見かと。
1回のプレイ時間は多くて1時間程、少なくて1秒程度(笑)と時間的に手軽にプレイしやすいのは好感持てますが、シナリオ担当者の「とり」さん特有の難しい漢字や言い回しも健在で、お馬鹿な私にはちょっと理解不能な箇所もいくつかありました(特に阿片が語る内容など)。
何にしても「いかにして死を迎えるか」とは凄い事をテーマにしたもんです。
医者に「もう命は助からない」と言われた時、自分ならどうするだろう?そんな事をつい考えてしまうゲームでした。
私的満足度: ★★★★★ ★★☆☆☆
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